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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

タンゴ愛好者のためのブエノスアイレスの㊙︎情報:2016年版

毎年8月はブエノスアイレスでタンゴ世界選手権が開催されます。 よって、多くの日本人がブエノスアイレスを訪れるので、よく「ブエノスアイレスの歩き方」を聞かれます。だから、ここはひとつ日本のタンゴ愛好者の皆様に有益な情報を公開したいと思い、このブログを書きました。

1. ブエノスアイレスに行く前にダウンロードすべきマストなアプリ

(1)BA Cómo llego(ウェブ版)

アンドロイド版 iPhone版

ウェブでも見れますが、これは必ずダウンロード必須なアプリです。自分の住所と行きたい場所の住所を入力すると、地下鉄とコレクティーボ(バス)を駆使した行き方を自動で表示してもらい、さらに所要時間も表示されます。

(2)グーグルマップのオフライン地図をダウンロード

iPhoneの「Googleマップ」をオフラインで使い、海外旅行で通信せずに地図を見る!

詳しくは上記記事を参照してもらえればいいですが、iPhoneでもアンドロイドでもグーグルマップは現在はオフライン地図がダウンロードできるようになっており、「ブエノスアイレス」と検索して事前に必ずダウンロードしておくことをオススメします。GPSはインターネットに接続しなくても機能するので、Wifiがなくても現在位置が分かるのは本当に便利です。

(3) Hoy Milonga

これはタンゴ愛好者には必須なアプリです。毎日のミロンガの最新情報が見れ、また席の予約の際にかける電話番号、住所などもすべて一目で閲覧できるので非常に便利です。特に最近は政府によって、多くのミロンガが閉鎖されているので、当日ミロンガに行く前に再度情報を確認する必要があります。

2. ブエノスアイレスのインターネット環境について

8月はブエノスアイレスの冬に当たるので停電もあまりなく、比較的安定したネット環境です。Wifiは基本的にはどんなカフェやレストランでも利用できるので、日本とは比較にならないくらい便利です。(Wifiのパスワードを訊くときは「¿Cuál es la clave de wifi?(クアルエス デ クラベ デ ワイファイ?)」と訊いてください。)

またsimフリースマホを持っている人は、現地のsimカードを購入してネットに繋げることも可能です。simカードは500円くらいから購入でき、1000円くらいチャージしておけば2週間くらいは余裕で持ちます。simカードを購入するときは、アクティベーションをしているsimカードを買わないとあとでアクティベーションをするために別のストアに行く必要があります。またsimカードの購入の際は必ずパスポート原本を持参してください。

アルゼンチンには、Claro、Personal、それにMovistarという3大キャリアが存在しており、基本的にはどれも似たようなサービスを提供しています。

個人的に使ったことがあるのはMovistarとClaroですが、ネット接続のスピードに大差はありませんでした。simカードは各会社のサービスセンターで購入できるし、またパソコンストアなどでも販売しています。(こちらをクリックすると、Claroのサービスセンターが閲覧できます。ブエノスアイレス各所にあるので、お近くのサービスセンターでsimカードを購入するのが便利です)

3. タクシーの乗り方

ブエノスアイレスはsubteと呼ばれる地下鉄、それにColectivoと呼ばれるバスを駆使すれば、ほとんどの場所に行くことができます。しかし、2週間程度の短期滞在であるならば、タクシーを駆使したほうがストレスなしに移動することができます。ブエノスアイレスのタクシーはほかの中南米の国に比べると比較的安全で、タクシーの運転手もブエノスアイレスの地理に非常に詳しいのである程度は信頼できます。(公共交通機関を使う場合はSubeという日本のスイカのようなカードを取得する必要があります。これはパスポート持参すればキオスクなどで購入できます。)

ただ世界選手権の会場であるUsina del Arteは多くの人が滞在するであろうパレルモ地区からは遠く離れているので、まずは地下鉄に乗って各線の終点で降りてタクシーに乗るのが一番早く経済的です。サンテテルモ地区に宿泊しているのであれば、それほど遠くないので直接タクシーに乗って「Usina del Arte」と言えば連れて行ってくれます。(たまに「Usina del Arte」を知らない運転手もいますが、グーグルマップを見せれば連れて行ってもらえます)

Screen Shot 2016-07-27 at 10.34.51 (各線の終点を赤く囲ってありますので、そこで降りてタクシーを捕まえてください。)

タクシーに乗る前に行きたい場所の住所を調べておき、交差する通りの名前を覚えておきましょう。例えば、老舗ミロンガが開催されるサロンカニングに行くのであれば、「Vamos a Scalabrini Ortiz y Cabreraバモス ア スカラブリーニオリティス イ カブレラ)」と言ってください。

Vamos a 通りの名前 y 交差するもう一つの通りの名前」で行きたい場所に連れて行ってもらえます。住所を言っても結局はもう一つの交差する通りの名前を聞かれるので、事前に調べておいたほうが無難です。サロンカニングなど有名なところであれば、知っているタクシーの運転手もいますが、念のために通りの名前は控える、グーグルマップを見せる準備をしておくのがやたらとせっかちなタクシー運転手の機嫌を損ねないでしょう。

4. ブエノスアイレスのミロンガ情報

20代から40代ぐらいのそこそこ踊れる人は基本的にみんな同じミロンガに通っています。下記が彼らがよく行くミロンガです。住所や開催されるイベントなどの情報はミロンガやプラクティカに行く当日にHOY MILONGAで確認してください。当日キャンセルされたりすることもありますので。

月曜日:

(1) De Querusa (Práctica) 20時から深夜0時まで 日本にも先日来日したPablo y Noelia、さらにTanguito y Genoveraの2組のカップルが主催する有名なプラクティカです。週2回開催されており、木曜日は激混みですが月曜日は比較的空いており踊れます。

(2)La Bicicleta (Práctica) 23時から1時まで 年齢層はかなり若く、フレッシュな若者達で溢れています。ブエノスアイレスでは最近、ミロンガよりもこのようなプラクティカが多く開催されており、そのなかでも最も有名なプラクティカの一つです。最近、政府によって以前の場所が閉鎖されており、Hoy Milongaで最新情報をアップデートしてから行ったほうがいいでしょう。

(3)Parakultural 23時から4時まで コアな人たちはLa Bicicletaが終わってから、サロンカニングで開催されるこのミロンガへと流れます。La Bicicletaはちょっと若すぎるという人たちは最初からこのミロンガに参加するのがいいでしょう。

火曜日:

(1)Cachirulo en el Beso 21時から3時まで 男と女の熱きバトルが繰り広げられる場所です。El Besoというサロンカニングに次ぐ老舗ミロンガが開催される場所で開催され、カベセオ(身振り手振り、あるいは視線だけ)で男性が女性を誘う場所です。席を予約するときも、カップルで行くときは女性と男性別々に座ったほうが、そのガチバトルが楽しめるでしょう。(カップルで座ると、あまり女性は誘われない可能性があるので要注意です)

なにせ男性、女性が向かい同士で座らせるので、カベセオ合戦が常に繰り広げられています。

(2)Parakultural El BESOはミクロセントロと呼ばれる地区にあるのでパレルモからは距離があります。EL BESOまで行くのは面倒くさいという人や、「ガチバトルは面倒くさい」という人はこちらをおすすめします。

水曜日

(1) Cheek to Cheek (Práctica) 21時半から1時半 ここも比較的踊りに自信のある若者たちがよく行く人気のプラクティカです。けっこうスカした男女が多いので、友人知人と行くことをおすすめします。

(2)Fruto Dulce Tangos 22時半から2時半 非常にトラディショナルなミロンガで、ある意味閉鎖的なミロンガです。年齢層は比較的上で多くの常連が通っているので、内輪ノリが嫌な人にはおすすめしません。ただ、腕に自信がある男女であるならば、挑戦する価値があるかもしれません。

(3) La Viruta (Práctica) 深夜0時から4時まで 言わずと知れたブエノスアイレスで最も有名なミロンガ(プラクティカ)のひとつです。色々なイベントも開催されており、HPをチェックしていくのがいいでしょう。週末を夜中の3時を越えると無料で入場できるので多くのダンサーが集まる場所です。水曜日は早めに終わることもあるので、早い時間から混んでいます。(深夜0時が早い時間というか微妙ですが。ちなみに水曜日に行ってとても楽しい思いをしたので翌日の木曜日に行ったら、閑散としていたことがあります・・・・曜日によってここまで違うとは恐るべしですね)

木曜日: (1)De Querusa (Práctica) 20時から深夜0時まで

大会期間中は足の踏み場もないほど混みます。それが嫌ならば家で寝てから、みんなが次に行くLa Milonga de los Zuccaの開催時間まで英気を養いましょう。ちなみにこの二つのミロンガは提携しており、De Querusaで「La Milonga de los Zuccaに行く」と言うと、入場料が半額になるLa Milonga de los Zuccaのフライヤーをくれます。くれない場合はTanguitoのおっさんがそのへんに歩いているので、彼に言ってもらいましょう。(ちなみにTanguito先生は去年の世界選手権の決勝の審査員も務めた有名なダンサーです。以前から彼のクラスを取っていますが、とてもいい先生です)

(2)La Milonga de los Zucca 22時半から4時まで

ライブバンドが演奏したり、有名なダンサーのデモがあったりする素敵なミロンガです。混むので席の予約は必須でしょう。ちなみに席を予約をするときは「Me gustaría reservar una mesa para dos.(席を二人分予約したいのですが)」と言えば予約できます。携帯のテキストメッセージでも予約できるので、便利です。予約番号はHoy Milongaで確認してください。11時までに行かないと予約は取り消しと言われますが・・・・運が良ければ席がまだある場合もありますのでそのへんはアバウトです。

金曜日: 金曜日と土曜日は比較的ばらけます。みんながこぞって行くこれというミロンガがなく、好みが分かれます。唯一、みんな行くのが土曜日深夜のLa Virtaでしょう。

Cheek to Cheek (Práctica) 15時から19時まで 夕方から開催される人気のプラクティカで、働くことを放棄した若い男女の多くが参加しています。まあ、何度も言うようですがスカした男女が多いです。

El Bailongo de la Glorieta 20時から23時30分まで 好きな人は好きなオープンエアなミロンガです。「El Barrio Chino(中華街)」があるベルグラーノ地区で開かれており、パレルモに滞在している人たちにとってもそれほど遠くないので一度は行ってみる価値があるミロンガかもしれません。また女性一人でも踊ってもらえる確率が非常に高いミロンガです。

Yira Yira 23時から4時まで 年齢層はかなり高めで、場所はLa Milonga de los Zuccaと同じ場所なので、木曜日に行った人は金曜日も行く必要はないかもですが、いかなかった人は行く価値はあります。建物自体とても歴史的な建物で、ここで踊ること自体素敵なことかと。(ただこの地区は非常に危険な地区なのでタクシーで行ってタクシーで帰ることをオススメします)

Dos Orillas (Práctica) 23時から3時まで 自分の家から近いという理由でよく行くプラクティカです。ただよく閉鎖されるので、Hoy Milongaで最新情報をチェックしてください。普通のマンションの一部屋で開催しているので完全にアウトな感じがしますが、閉鎖されてもなぜかいつの間にか復活しています。Carla & Gasparのデモをここで偶然見たこともあり、運が良ければいいデモが見れますが悪ければ閑散としています。

GNC (Práctica)  22時半から4時まで 以前、Dos Orillasが開催された場所で開催していたプラクティカですが、いつまにか場所を変更されて開催していました。地元の人が比較的多くアットホームなプラクティカです。なんとなくまったりとしていて、雰囲気はけっこういいです。

土曜日: Practica DNI (Práctica) 16時から20時まで DNIという有名なタンゴスクールが開催される週1のプラクティカです。基本、いつも激混みなので、疲れます。年齢層は非常に若いですが踊りたそうにしていれば、けっこう踊ってもらえる場所なので、お一人様の女性にはオススメです。(若くなくても若く見えればOKっす)

Milonga Abierta (La Glorieta) (Práctica) 19時から23時まで 例の好きな人は好きなオープンエアな公園で開かれるプラクティカです。場所は同じでも、オーガナイザーが違うので客層も少し違います。座る場所もないので基本立ちです。ただ女性一人で行っても踊ってもらえる確率はかなり高いです。

Cachirulo 21時から4時 例のガチ・カベセオのミロンガです。開催場所はObelisco Tangoで火曜日とは違う場所です。オーガナイザーのおっさんはいつも喋りすぎですが、悪い人ではないようです・・・たぶん。

Las Morochas 22時半から4時半 El Besoで開かれるかなり年齢層の高いミロンガです。僕のミロンガデビューはここでした。まあ、おばさん、おばあちゃんに揉まれながら最初はうまくなっていくものです。あと違うルートは、La Catedralという観光客とタンゴ初心者が集まる場所で腕を磨くルートです。ただEl Besoのほうが床はいいし、踊りやすいので好きです。

Tango Club 22時半から5時まで 以前から僕が習っているJulio Bassanというおっさんがオーガナイザーをしているミロンガです。以前は、Milonga10という若者で賑わう超人気ミロンガが開催されていた同じ場所で開催されていることもあり、客層も若くまた踊れる人が多いです。

La Viruta (Práctica) 深夜0時から6時まで 深夜3時から入場無料なので、ブエノスアイレス中のダンサーが一堂に会する場所です。毎週土曜日はほかのミロンガが行っていても最終的にはみんなここにたどり着きます。そんな場所が日本にもあればいいですね。

日曜日:

Viva la Pepa 22時から2時まで パレルモ地区に滞在しているのであれば、日曜日はここに行って、深夜2時からはLa Virutaに行くというのが定石のコースです。ほかの選択肢はないくらいみなさんそのコースです。

番外編:

(1)La Catedral 毎日タンゴクラスがあり、そのあとミロンガが開催されている。観光客と初心者が多いですが、雰囲気は面白いので覗いてみてもいいミロンガです。時間はHPで確認してください。

(2) Bar Los Laureles 映画「ラストタンゴ」の撮影に使用された老舗のタンゴバーです。木曜日、金曜日、土曜日にミロンガは開催されてはいますが、友人知人と一緒に行って食事しながら、まったりする場所です。

タンゴ愛好者であるならば必見のElina Roldanの「Mi tango nació en Sarandi」という映像の撮影場所にも使用されました。ちなみにTanguito先生も出演されています。

5. タンゴスクール情報 スクール名をクリックすると、各スクールのホームページおよびFACEBOOKページに飛びますので場所や時間などはそちらで確認してください。

(1) DNI 外国人に最も人気のあるタンゴスクールです。英語とスペイン語の両方で教えてもらえるので、スペイン語ができない方にもオススメできます。またグループレッスンもレベルごとに分かれているので、初心者以外はTango3以上のクラスを取ればそれなりに楽しめます。ただビデオ撮影は許可されていないのが残念です。

(2) Escuela Argentina de Tango 踊れる外国人女性にどこでクラスを取っているか聞くと、比較的にここで取っている人が多かったので、何度か行ってみたところ確かに先生にもよりますが、非常にいいスクールです。パレルモからは遠いですが、地下鉄の駅のすぐそばでアクセスは非常にいいです。

(3)Mariposa サンテルモ地区にある有名なタンゴスクールです。パレルモからは遠いので数回程度しか行ったことがないですが、素敵なスタジオです。

(4) Clase de Tango Andres Cejas Genoveva Fernandez 場所:Carlos Calvo 3745 日時:毎週火曜日と金曜日の19時半から21時半まで

数年前からブエノスアイレスに行くたびに通っているクラスです。音楽性と華麗なステップが学べますが、基本的に地元の方々が多いので、なるべくダンスパートナーと一緒に行ったほうがいいですね。あと水曜日には上級クラスも開催されていますが、場所は違う場所なのでFBで確認してください。

では、みなさん世界選手権でのご活躍祈っております。

謎の上から目線と下から目線:三宅洋平さんについて

最近、SNS三宅洋平という人がよく上がってくるので、彼の演説をユーチューブで見てみた。

外国語の勉強のために海外の政治家の演説や国会中継などは見たことがあったが、日本の政治家の演説をまともに見たのは初めてかもしれない。文化の違いもあるが、海外ではとかくなんでも演説をぶつので、その内容はさることながら、「聞かせる技術」というのは発達している。

「頑張れ」謎の下から目線。 そういう観点から見ると、思わず見てしまう演説のうまさもさることながら、上記の言葉のように三宅さんはなかなか日本人の本質を言い当てているなと思う。 (忙しい人にも演説の全文文字起こしもあるよ)

一貫して、「自分は頭も良くないし、間違っていることもあるだろうし、自分のすべての意見に賛成してもらえるとも思っていない。でも一緒に立ち上がろう」と呼びかけているのは好感が持てる。

政治家に本当に必要なのは、頭の良さやお金や品行方正な正しい精神ではなく、ビジョンだ。 今までビジョンもなく、ただ親のコネや周りの声だけに押されて政治家になった人たちが多すぎると思う。

三宅洋平氏を支持できない理由。

「政治のことは何も知らないけど、三宅洋平さんで初めて興味を持ちました!応援します!」という人たちに、一つだけ伝えたい重要なこと

そして、高知と東京から予定調和のようにさりげなく批判が届いています。 三宅さんが掲げる「教育の無償化」「福祉の充実」を実現した国のひとつとして、僕が住んだ絶賛デフォルト中のアルゼンチンがありますので、ガタガタ震えながら彼の政策を聞いてはいます。

我が第2次安倍内閣世襲議員率50%は何を意味するのか考察する

ただ一点、三宅洋平さんを擁護する点があるとすれば、「多様な社会」を目指していることであり、また彼にはビジョンがあることです。日本の政治家の約3分の1は世襲議員であり内閣に至っては50%も世襲議員なので、それが彼らのビジョンのなさに直結しているのではないかと思っています。親の後を継いでいるだけで、ビジョンがあって政治家を目指したわけではないという。

三宅さんは陰謀論が大好きで、居酒屋で熱く「世界平和」を語るうざそうな中年男子だとは思いますが、声をあげて立ち上がって現状に関して危機感を抱き変化を起こそうとしているのは素晴らしいことではないかと思っています。

まだ東京で消耗してるの?」と謎の上から目線で高知から批判されるは謂れはきっとないのだろうなと思う今日この頃です。

正しい歳の取り方とは?:東京タラレバ娘

昨日、高校の同級生たちと会った。 お互い20年くらい音信普通だったが、フェースブックで繋がって、メキシコに住んでいるときに彼らの一人を案内したのが縁でなんとなくまだ繋がっている。

僕たちは校則も服装も自由で有名な私立和光高校という高校に通っていた。 バイク通学禁止なのにバイク通学したり、教室でタバコを吸ったりと、なんでもありな高校だった。当時から「自由のはき違い」と先生たちが声高に叫んでいたが、きっと今でも先生たちは同じことを言っているだろう。 (ちなみにうちの母親も和光で、姪っ子も和光に通っている和光家族だ。)

僕たちのクラスは、毎年5人くらい退学か留年をし、代わりに5人くらい入ってきたので、40人クラスだったはずだが合計すると60人くらい同じクラスに所属していたことがある中々アクティブなクラスだった。

そういえば、服装自由なのになぜか学ランで来ていたやつがいて、入学後一週間で問題を起こして退学したツワモノもいたファンキーな高校だった。

そんな学校に行くとたいてのやつはサラリーマンは務まらないので、結局自営業を営むことになる。かくいう自分もそのうちの一人だし、うちのクラスには5人くらいフリーランスのカメラマンがいるという話だ。(昨日一緒に飲んだ3人のうち一人はパン屋、もう一人は雑誌の記者、そしてもう一人はカメラマンだ)

そんな僕らもいい中年になったわけだが、一人だけ独身の女性がいたので、彼女の恋バナを一通りみんなで聞いた。

彼女は去年、21歳の男の子に恋をしたらしい・・・・そうなると仮想敵は18歳から25歳の若くて美人な女性たちで、41歳の独身女性が勝てる見込みは限りなくゼロに等しい。

だったらどうすればいいのかと訊かれたので、「自分を磨くか、土俵を変えればいい」とハイボールで若干酔った頭でそう答えておいた。僕の女友達で、数年前からパリに移住して今ではフランス語ペラペラとなり、フランス人男性をゲットしたアラフォー女子がいる。これは自分も磨いて、土俵を変えて成功した好例だと思う。

でも現実的に考えて、40歳を過ぎた女性が自分を磨くのはそう容易ではないのは確かだ。新しい外国語習得は毎日勉強しても数年かかるだろうし、エステや美容に走ったところで若い女子には敵わない。

東京タラレバ娘は「タラレバばかり言ってたら こんな歳になってしまった」33歳女子3人の話だが、それよりももっと上の世代が読むと、さらにイタイ話のオンパレードだ。海外だと年齢はそれほど重要視されないが、日本だとほとんどの場合、まず一番最初に訊かれる最重要事項のひとつになっている。

美よりも才能のほうが長持ちする」とオスカー・ワイルドは言っていたが、21歳男子に無謀な戦いを挑むような同級生に送る一番正しい言葉は同じオスカー・ワイルドの「自覚されたことはすべて正しい」という至言かもしれない。

東京タラレバ娘にもあったが、東京に住んでいる女子が田舎に行くと、「あらー、女優さんみたいね」と言われることもあるし、アラフォーでも50歳男性から見れば若い。土俵を変えて、さらに自分も磨けば勝てる戦はあるだろう・・・・と思う。

正しい地球の歩き方

これから夏休みに向けて、多くの人が海外旅行の計画を立てていると思う。 そんな人のためにいくつか役に立つような「旅のヒント」をここに書き記したいと思う。

1. ググレカス

海外ではこれは鉄則だ。 これは他者に向けたものではない、自分自身に向けたものだ。

どういうことかと言うと、海外では大抵の場合、人に聞くよりはグーグル先生に聞いた方が正確だし、早い。

ひとつ例をあげよう。 つい先週までキューバに滞在していたが、キューバ人のガイドにオススメの場所を聞いて、その場所に行ってみることにした。

YES

しかし、自他共に認める旅の猛者であり、50カ国以上の国々を旅歩き、海外生活10年近くを誇る自分は、ホテルのフロント、バーのスタッフなどある程度信頼できるそうな人たちに、その場所はどういうところか、その日はオープンしているか、きちんと確認した。

合計3人から「今日はちょうど今からオープンしているし、ほんと素晴らしいところだから行く価値がある!」と言われてタクシーを飛ばして行ってみたが、店は閉まっていた・・・・ググレカス

キューバのようにインターネットに接続するのが困難な場所であっても、やはり事前にグーグル先生に聞いておくべきだったと激しく後悔した。

2. 海外では道を尋ねるな

18歳の頃から、海外で一人旅をしているが、旅を始めた最初は外国人に道を尋ねることがひとつの挑戦であり、刺激ある体験だった。ドキドキしながら、外国人に英語で話しかけたことを今でも鮮烈な記憶として残っている。

それが20年以上経つと、「あのアメリカ人いい加減そうだから、聞くだけ無駄だな」とか「メキシコ人に道聞いたら、Para allá (パラ アジャ:あっち!)と言われるだけで、どっちだよ!という話になるだけだな」とか思うだけで、最終的にグーグルマップを頼りに街を闊歩することになる。

外国語で道を訊くぐらいで、ドキドキすることもないスレた大人になってしまったということだろう。

インターネットに繋げないキューバのような街でも事前にオフラインマップをダウンロードしておけば、GPSは機能するので特に苦労することもない。

旅におけるひとつの体験として、人に何かを尋ねたり、道を訊くのはいいとは思う。 しかし、その体験をある一定以上こなすと、こちらの忍耐力も限界に達し、GPSやグーグル先生のほうがよほど頼りになるので、「スマホが旅のお供」という事態に陥ってしまう。

3. アメリカでのトランジットには気をつけろ!

自由と平等の国であるアメリカでは、「外国人は全員テロリストと思え!(嘘)』という法律があるらしく、入国検査や税関で多くの人が辱めに遭う。一番の問題はただの乗り継ぎなのに、チェックインした荷物を一度アメリカの空港でピックアップする必要があることだ。そして、最終目的地の搭乗券を発行されていなかったら、またチェックインカウンターに行って長蛇の列に並ぶことになる。

今回、キューバからの帰りは、ロサンゼルス経由で5時間もの待ち時間があったが、羽田までの搭乗券がなかったので、長蛇の列に並ぶ羽目になり、時間がほとんどなくなり、本当に焦った。(また入国検査では、ESTAを保持している人は機械(キオスク)で入国検査をまず行い、それから審査官がいるブースに行って発行された紙を持っていかねばならなかった・・・・あの機械はなんのためにあるのか疑問だ)

アメリカでのトランジットには最低でも90分から2時間はかかると思って、余裕を持って、挑んだほうがいい。

4. 正しい旅の楽しみ方

当たり前のことだが、海外では日本の常識は通用しない。 だから、3人の人に訊いて、同じ答えが返ってきても、間違っていることがあるのだ。その際は、素直に自分が悪かったと思って、同じ過ちを繰り返さないように気をつければいい。

ちなみに行ってみたキューバの店は「木曜日から日曜日が営業日」であり、行った日は水曜日だった。もし次回、同様のことを訊く機会があれば、「今日は水曜日ですが、この店は水曜日でも営業していますか?」と訊くべきなのかしれない。

だが、ラテンの人々はきっとそれでも同様の返事を返すだろう・・・・ググレカス

キューバのアートと芸術について2016

キューバに2度訪れて思ったのは、投資先としてのその魅力は「観光資源と人々の教育水準の高さ」だと思った。国外に200万人いると言われているキューバ人だが、その多くはアメリカに住んでいる。アメリカとの国交回復後、彼らが大挙して訪れれば、一気に「キューバのアメリカ化」は進むと思う。

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歴史的な背景からアメリカに対して複雑な感情を抱いている人がもっと多いと思ったが、街中で見かける「I love Miami」「I love Los Angeles」といったTシャツを着た人たちを見ると、そうでもないのかもしれないと思う。実際、キューバ人にアメリカのことを聞いても、特に悪口を言う人もいないし、親戚のうち1人くらいはアメリカに住んでいるので、アメリカの実情と自分たちの実情を比べてみて、少なからず羨望に似た気持ちを抱いているのも事実だろう。

1. キューバの音楽とアート

キューバサルサは世界的に有名ではあるが、ここキューバではレゲトンのほうが流行っており、彼らにとってサルサは「時代遅れ」という印象らしい。街中でも観光客向けの場所ではサルサがかかっていたが、それ以外の場所ではあまり聞かなかった。

またキューバ人のリズム感はほかの中南米の人たちと比べても並外れており、身体中を動かしながら音楽に合わせて踊る様はたしかにかっこいい。彼らにとって音楽は「リズムに合わせて踊るもの」であり、踊りやすい音楽であればなんでもいいのかもしれない。

そして、キューバではアートが栄えている。

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Fabrica de Arte(ファブリカ・デ・アルテ)という今、ハバナの若者たちの間で流行っているという場所に行ってみた。ギャラリー、映画館、ライブ会場、カフェなどが入っているコンプレックスで、たしかに多くのキューバ人で賑わっていた。

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ほかの国からの情報が圧倒的に不足しているなかで、キューバ人が描く絵画やデッサン、それに写真はとても独創的で見ていて飽きなかった。街中では警察、それに隣人同士の監視システムがあり、常に抑圧されているキューバ人はアート、それに音楽などで発散しているのかもしれない。

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もちろん、この厳格な監視システムのおかげで中南米のなかで、最も治安がいいといってもいいくらいな安全を保っているので、旅行者は文句は言えない。だが、そんな監視システムを引いているわりには、なぜか人々には弛緩した空気が流れている。このゆるい空気が、もしかしたら革命政府がこれほど長く続いた要因かもしれないし、さらに遡れば、カステロやチェ・ゲバラが決死の革命を遂行するまでは、独裁政権の圧政とそれがもたらす飢餓に耐えられた大きな要素なのかもしれない。

2. キューバへの観光客

キューバを訪れる観光客は年々増加し、昨年度は350万人を超え、日本人の観光客も昨年は80%近くの伸びを示し、さらに今年はその80%伸びた去年よりもさらに80%伸びて1万人以上になるということだ。

ただし、今年の1月から4月までにアメリカから9万4千人も訪れていることを考えると、日本以上にアメリカで「キューバ・ブーム」になっているのが分かる。

世界遺産に登録されたキューバ旧市街には、古いホテルをリノベーションしてハイアットが建てられる予定だが、これだけ訪れる観光客が増えているにも関わらずホテルは不足しており、その窮余の策として民泊を許可したが圧倒的なインフラ不足なので十分な施設とは言えない。(いくつかの民家に宿泊してみたが、お湯が出なかったり、窓がなかったり、また当然ネットもなく、1泊30ドルから40ドルも支払う価値はないと思った)

ロイター記者の友人がハバナに駐在しているので話を聞いたが、毎月800ドルのインターネット接続料金、車、外国人用の宿泊施設など経費が非常にかかるとは言っていた。ロイターのような大きな組織だからこそ、そこまで経費をかけて進出できるが、多くの日本企業にとってみればまだまだ「遠い未知の国」のひとつであり、進出するのに障害が多い国ではある。

3. 最後に

その友人の誘いでアメリカやカナダ、そしてドイツの大使館の人たちが集まる夕食会にも参加したが、どの人もキューバの治安の良さを讃え、そしてキューバのことを気に入っていると言っていたのが印象的だった。

自分が住んだアルゼンチンで同じようなことを現地にいる外国人に聞いたら、正反対の答えが返ってくるだろう。

ネットも満足に繋がらず、インフラも十分にないし、輸入食品も限られている。 (友人にはスイス産のチョコレートを買ってくるように頼まれたので、しこたま買ってあげた。)

それでも有り余る魅力がキューバという国にはあるのだろう。 こんな短期間の滞在ではまだまだ見えないこともたくさんあるので、今後メキシコ、アルゼンチンと同じように定期的に行って観察していきたいと思っている。

キューバの光と影2016

去年のちょうど今頃、初めてキューバに行ったが普通の観光旅行だったので、その印象は「ただただ貧しい国」という印象だった。

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しかし、今回はJETROが主催するビジネス視察旅行に参加したので、観光旅行では行けないところや知らないことも知ることが出来たのは大きな収穫だった。またツアーに参加した現地駐在員の方々や、個人的な知り合いである現地特派員のイギリス人ロイター記者とも久しぶりに再会して、面白い話を聞くことができた。

1. 歴史的な背景

1959年に革命政権を樹立して始まったキューバ社会主義は、革命前にアメリカの大資本と当時キューバのバチスタ独裁政権が結託して圧政を敷いたので、その反動として生まれたものである。一部の資本家だけが肥え太り、その他大勢の人々が飢え苦しんだ時代の教訓として「平等」を掲げたものであって、特にマルクスやレーニンとは関係がない。

むしろ、もっと崇高なロマンに基づいて敷かれた体制だ。

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1991年には当時、通常の4倍のレートでキューバの主産の輸出物である砂糖を買っていた旧ソ連が解体し、キューバは経済的な後ろ盾を失って大混乱に陥った。それでもキューバ人はこの危機的な状況で各家庭が農産物を育てるなどして、一致団結して乗り切っている。

この人口1100万人しかいない小さなカリブ海の国に人々がどこか憧憬の気持ちを抱くのも、そのような数々の苦難な時代を乗り切ったキューバ人のたくましさとロマン溢れたカストロチェ・ゲバラの革命、それにこのネット時代に完全に鎖国されたミステリアスな国であることが挙げられる。

2. 中南米一優秀と言われるキューバ人とその給料

教育水準は中南米一と言っていいほど高く、識字率は99%という高い数字を誇っている。隣人のメキシコでもキューバ人を絶賛する人は多いし、ほかのラテンの人々の比べて比較的時間に正確なのも好感を持てる。

そんな評判のいいキューバ人だが、国民の給料はすべて政府を通して支払いが行われ、平均月収は25ドルと低い水準だ。もちろん、これだといくら配給があっても足りないので、国外からの親戚による送金、あるいは観光客からの副収入を得て、なんとか生活をしているのが現状だ。

中国のような情報統制を敷いてはおらず、FACEBOOKもグーグルも使えるし、街中ではホテルや図書館の前でネットに接続している人たちを多く見かけた。(どんなに安くても1時間2ドルという接続料金を考えれば、一部の人しかネットに繋げないので情報統制などする必要がないのかもしれない。)

JETROの視察先であるBRASCUBAでは平均給与は800ドルが支払われているとのことだが、彼らが実際手にするのは50ドルだけである。750ドルが政府に中抜きされていることとなる。もちろん、それだと労働者は納得しないので、それとは別にキャッシュで支払いが行われる26ドルから42ドルのインセンティブがあるということだが、彼らに実際に支払われるべき賃金に比べて十分とは言えない。 (法律では会社の利益の10%を上限に社員に還元されることが許されているとのことだが、外資系企業が現金で支払ってしまえば政府が捕捉することは不可能なので、もっと多くのお金が支払われているかもしれない。)

hemingway2016 ヘミングウェイゆかりのバーがハバナの旧市街にはいくつかある。)

一番の高収入を得ているのはタクシーの運転手と言われ、1回の乗車につき少なくても10ドルから20ドルは取るので、1日に100ドルは稼げるだろう。試しにタクシーの運転手の何人かに月いくら稼いでいるのか聞いてみたが、600ドルから800ドルと言っていた。意外に少ないと思ったが、タクシーの運転手いわく「政府に1日50ドルくらいの多額の税金と取られるから」と言っていた。(以前は無認可のタクシーが多かったらしいが、大々的に政府が取り締まりを始めており、無認可で営業するのは難しくなったとのことだ)

約3年前に税金徴収のシステムが代わり、タクシーの運転手は使ったガソリンに比例して税金を払うことになり、それがだいたい1日50ドルになるとのことだ。これは使わなくても支払う必要があるので、多くのタクシー運転手は兄弟親戚と1台の車をシェアして、2日勤務2日休日というようなシフト制で働いている。

キューバ中南米随一の医療を誇る国でもあるが、その高い救育を受けた医師がタクシーの運転手などに転職してしまい、社会的な問題となっている。「平等」という崇高な理想を掲げたはいいが、高度な職業訓練を要し、患者の生死に向き合う医師よりもタクシーの運転手のほうが数十倍高い給料を稼げれば、誰だって転職したくなるだろう。

今までは国民すべての給与は政府を通じて支払われていたが、彼らのようなタクシー運転手、Casa particular(民泊)、Restaurant privado(個人経営レストラン)などが登場し、給与以外の収入を得る人たちが増えた。

ただし、これは首都ハバナに住んでいる人たちが受けている恩恵であり、地方の人々にはほかに稼ぐ手段が少ない。だから、近年では地方出身の女性がハバナで売春婦として働くケースが増えて、これも深刻な問題となっている。

3. これからの展望

閉ざされた国と言えどもそこはラテンの国なので、多くの人がイメージするような堅苦しい社会主義の国という感じはしない。それに2008年よりカストロの後を継いだ実弟ラウルが緩やかにではあるが経済の開放政策を進めている。しかし、そのラウルも2018年には引退することを明言している。だから「これからのキューバ」は次世代に託されることになるが、急激な民主化は貧富の格差を広げることになるので、キューバの理想である「平等」とは程遠いものとなる恐れもある。

マリエル開発特区などを設けて積極的に外資を呼び込もうとしているが、人口が少ない国内市場に魅力は少ないので、教育水準の高いキューバ人を使っての製造業にこそ未来はあるのかもしれない。あくまで中南米のなかでは非常に教育水準が高いというだけだが、月50ドルから100ドル程度の給与で雇えるならば中南米の製造工場になるポテンシャルはあるだろう。

また、あるいは1100万人程度の人口であれば観光業だけで経済は成り立つかもしれない。

一歩間違えれば急激なインフレと新たな経済危機が隣り合わせだが、とにかく「投資=金をくれ」という政府関係者の声はとても切実なものだった。(本来ならば投資というのは一方的なものではないはずだが、社会主義の国の人たちに投資の概念を説くのは難しいとは思う。)

次回は今回の旅行で最も魅力に感じたキューバのアートと音楽について書きたいと思っている。

今日とは違う明日を求めて:想像力が欠如したラテンの世界からこんにちは。

ラテンの国に来ると、時々「どうしてこの人たちは自分を疑うということを、ここまでしないのだろうか?」と思うことがある。そして、それが彼らの「幸せであり続けること」の源泉である気がする。

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昨日、メキシコ人の友人アビマエルと二人で、コスメルというプラヤ・デル・カルメンから船で30分のところへ日帰りで行った。とても美しい島で、人も少なく、牧歌的な雰囲気が漂い二人で一台づつスクーターを借りて島を一周した。

途中、カフェやレストランに立ち寄り、シュノーケリングや昼食を取りながら、のんびりと島を回った。コスメルの海にはウニがたくさんいて、アビマエルはウニを食べたことがないというので、その場で取って食べさせようと思い立った。

本来は島の海鮮物を取ったりしたらダメらしいが、そのレストランのオーナーは親切にも人がいないところへ行って、取ればいいと助言をくれて、オリのようなものを渡してくれた。

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無事ウニをゲットして、ナイフで切り裂いて、みんなに分けてあげた。メキシコではウニを食べる習慣がないらしく、みんな戦々恐々としていたが、こわごわと手を出して食べた。「おまえ、よくこんなもん食えるな?」と言われたが、日本では高級食品であることを説明し、またイタリアやチリではみんな食べていると説明すると、なんとなく納得していた。

そして、会計をしようとしてクレジットカードを差し出したが、クレジットカードを読み取る機械がうまく機能していなかった。

明らかに機械の調子が悪かったが、オーナーは「さっきの客では問題なかったから、君のカードの問題だよ。」と言って譲らなかった。別にそれは嫌な感じでもなく、心底そのように思っているようだった。だが、どう考えてもこちらのカードに不備はなく、機械が読み取りにいっていないのは明らかだったが、おとなしく現金で払った。その証拠にそのあとすぐにカードを別のところに使ったが、もちろん問題なく使えた。

人の良さそうなそのオーナーは観光地であるプラヤ・デル・カルメンの倍以上の値付けをしており、食べ物にいたっては3倍以上していた。たぶん、「人がいい」ということと「きっちり観光客からぼる」というのは彼のなかでは見事に両立しており、罪悪感なんて一切感じていないのだろう。

そこによく来る常連のアメリカ人とも気軽に会話したりして、「ここはいつも賑わっていて、常連客がまた違う客を連れて来てくれる」と言っていた。

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嫌いじゃない考え方だ。 彼らはとても欲望に忠実だし、また敬虔なカトリック教徒でもあるので、「善き魂」であることを心がけてもいる。

自分が思いついたことについて検討し批判し、相手の立場になって考えたり、または想像することを全くせずにそれをそのまま素直に信じて、「自己の正しさ」を主張するのは、この残酷な世界を生きていくにはけっして悪いやり方ではない。

経験から学んだり、想像することによって心を痛めたりすることはないかもしれないが、別にそんなことをしても腹の足しにもならないのは事実だ。

でも、きっとラテンの国々がいつまでたっても先進諸国の人たちに駆逐され、搾取され、最終的に彼らのものを根こそぎ奪われているのも、彼らが「自己の正しさ」を正当化し続けているからではないだろうか。

メキシコの漁師と旅行者という寓話があるが、同じように小さな漁村で漁をしながら生活している人たちにも様々なバックグランドがあり、人生経験がある。個人的には結果的にはメキシコの小さな漁村で楽しく歌でも口ずさみながら生活することになっても、それでもやはり世界に出て勝負をして、あらゆることを経験してみたいと思う。

どんな幸せな生活を送っていようとも、現状に満足してしまえば停滞しかない。 現代ではこんなにもたくさんのことが可能になり、一昔前では夢のようなことが今は誰にでもできるようになっている。それをやはり体験しないのは損な気分になってしまう。

ラテンの人たちは確かに幸せそうだし、そこに偽りはないだろう。そして、獰猛な先進諸国の人たちはある意味不幸な人もたくさんいるけど、少なくてもより多くの人生経験を積むことは可能だ。両者には埋めがたい溝があるが、どちらも等分な可能性を秘めており、結局は自分が生まれた環境や文化を乗り越えて、「そとの世界」へと飛び出していける人たちには大きな未来が開いていると思っている。

発展途上国の人たちにとって物理的に「そとの世界」に飛び出すことは難しいかもしれないが、インターネット上では容易にできるし、人の経験を自分のことのように捉えれば、そこから多くのことを学ぶことは可能だろう。

想像力がなければ、どんなに人生経験を積んでもけっして、そこから何も学ぶことは出来ない。 この「想像力が圧倒的に欠如したラテンの世界」で人々が一向に何も学ぶことが出来ないのは、それが原因ではないかと思う。

幸せには色々な定義があるが、自分にとっては「幸せとは、いつも自分を更新している」ことであり、今日とは違う明日を日々更新することだ。

少なくても、「メキシコのちっぽけな島でクレジットカードが使用不可」になったくらいでこんな長々とブログを書くだけの想像力を持ち合わせてはいるので、人生経験を積むことだけはしっかりできてはいる。それをもっと活かして今日とは違う明日を毎日送っていきたい。