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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

アルゼンチンワインとすべての男は消耗品であるについて

このあいだ美容室に髪の毛を切りに行った。

そこでとあるメンズ雑誌を渡されて、ぱらぱらとページをめくって読んでみた。メンズ雑誌なんて読むのは、美容室に行ったときくらいだが、それくらいの頻度で読むには楽しいものだ。

そこでページをめくっていると村上龍の「すべての男は消耗品である」というエッセイが掲載されていた。

最近、30年分をまとめた全集を読んだばかりだったので、早速その最新のエッセイを読んでみた。タイトルは「若者よ、ワインに詳しくなるくらいならセックスしろ」だ。

ようは「世界中のワインを飲んでみたが、結論から言うとワインは移動に弱い。その国、その土地に行って飲めばどんな安ワインだって、おいしく感じるから、そんなものに詳しくなるよりは、若者だったらセックスしていたほうがよほど生産性が高い」という趣旨の話だった。

 

本当にいつも身も蓋もはないなと、村上龍のエッセーを読むたびに思う。

 

でも、たしかにワインは移動に弱いと思う。自分自身、50カ国以上の国々に旅したが、どこの国行ってもその土地で飲むワインはおいしいと思った。そして、世界中でもっとも美味しいワインの産地は聞かれたら、アルゼンチンと答えるだろう。

でも、それはきっと2、3年住んだ土地で、そのあいだにしこたまワインを飲んだからだと思う。アルゼンチンで飲むアルゼンチンワインはどんな安ワインでも美味しい。

 

アルゼンチンのワインは、ワインというよりは葡萄ジュースという感じで、とても飲みやすくアルコールをあまり感じない。

 

ただ、フランスに2年くらい住んだらきっとフランスのワインが世界一おいしいと思うだろうとは思う。それくらいその土地で飲むワインは本当においしい。

だからと言うわけではないが昨日、ワインショップでそこそこの値段のアルゼンチンワインを買って飲んでみたが、やはりまあたいしておいしくなかった。コンビニで売っている500円くらいのワインと大差がないなというのが正直な感想だ。

 

アルゼンチンに行くたびに、高級ワインを日本に持ち帰るが、そのワインを日本で飲むと本当においしい。移動に弱いといっても現地のワインをそのまま飛行機で持ち帰れば、それはたしかに現地で飲む味と同じなわけだ。

 

アルゼンチンから、肉とワインとタンゴを取ったら何も残らないと思うが、まあ肉とワインとタンゴさえあれば、人生そこそこ楽しいと思う。

 

 

村上龍の言う通り、若者はワインに詳しくなるよりはセックスしたほうがいいし、おっさんおばさんは、ワインに詳しいよりはタンゴがうまくなったほうが人生楽しいことは間違いない。

 

だからなに?

 

と聞かれても困るけど、世の中セックスよりも楽しいことはたくさんあることだけは間違いないとは思う。