Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

思いがけない一日

翌朝、起きると早速荷造りに取り掛かり、ホテルを出ることにした。ロケーションは最高だが、さすがに毎晩のように大音響で音楽が鳴り響くホテルにはいられない。ホテルを変えるついでに、違う街へ行こうと思った。

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二、三日違う街に滞在して、またサルバドールに戻ってくるつもりだった。ガイドブックを読むと、Lencois(レンソンスと読むらしいが、定かではない)という街は、街並みも美しく付近には国立自然公園もあり、風光明媚なところらしい。サルバドールからはバスで7時間とある。フロントに行ってバスの時間を聞くと、朝の7時と夜の11時発の一日二本のバスしかないとのことだった。時計を見るとすでに10時過ぎだったので、夜の11時発のバスまで待つしかないが、それまで待つ気になれない。ほかにお勧めの場所を聞くと、応対してくれたフロントの人が自分の街の話を始めた。なんでも彼はバレンサという港町出身で、そこには日本人がたくさんいて、日本人の友人から日本語を習っているとのことだった。

バランサに行くにはフェリーで30分、バスで2時間半とのことだった。たいした距離ではないので、とりあえずそこに行ってみることにした。バレンサからさらに南に行ったところに、美しいビーチで有名なモンテ・サンパウロがあり、またポンビアという観光地化されていない街もあるとのことだった。

11時過ぎにチェックアウトし、バスに乗って港へ向かった。残念ながらフェリーは出発したばかりで一時間ほど待たなくてはいけなかった。フェリーに乗る長蛇の列に並び、ようやくの思いで対岸の港に着き、バスに乗った。

バレンサに着いたのは3時半過ぎだった。しかし、思ったほど魅力的な街でなく、到底泊まる気になれなかった。南下して、モンテ・サンパウロかポンビアに行くことも考えたが、時間がかかり過ぎるので断念する。一度、サルバドールまで戻り出直したほうが良さそうだ。

バレンサのバス停まで戻ったら、サルバドール行きのバスが来ていたので、それに乗り込んだ。

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サルバドールに着いたのは、夜の8時過ぎだった。バス停からタクシーに乗り、以前歩いて気に入ったカルモという地区まで行った。ホテルのめどは立っていなかったが、この地区は非常に静かで、ペロウリーニョの喧騒もここまでは届かない。ぶらぶら歩いていると、雰囲気のいい宿を見つけて、チェックインした。そこはホテルではなくホステルで、6人部屋のドミトリーしか空いていなかったが、これも何かと縁と思い、ドミトリーに泊まることにした。ひとり旅は好きだが、ドミトリーに泊まることは今までほとんどなかった。以前は部屋を知らない誰かと共有するのは嫌だったが、今ではそれほど抵抗感はない。これもいい経験になるだろうと思った。

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この日は移動だけに費やした日だったが、思えばサルバドールに戻ってきてこのホステルに泊まったことが、今回の旅の大きなターニングポイントになった。ここでたくさんの人と知り合いになれたし、そのなかの何人かとは今でもコンタクトを取っている。無駄に思えた一日だが、あとになって振り返ると大切な一日となった。

人生なにが幸いするか分からないものだ。