僕のアメリカの印象はすこぶる悪い。
初めてニューヨークに行ったときに、入国審査官に「お前の名前は犯罪者の名前と似てる」というただそれだけの理由で、不当に拘束されたことも一因だ。
名前が似てる・・・・・それだけの理由で人を拘束する国に好感を持つのは難しい。ヒン・ラディンという名前の人は、名前が似ていると理由でアメリカに行ったら殺されるかもしれない。怖い国だ。
そんな僕が明日からサンフランシスコに行く。
旅に行くときは必ず本を携帯するようにしているが、今回は村上龍の「愛と幻想のファシズム」だ。なんだか気合の入り方が違う。
旅で好きな時間のひとつに、乗り物に乗っている時間がある。
そのどうしようもない空白な時間が好きだ。基本的には、存在しない時間であるから、どんな怠惰に過ごしても誰にも文句は言われない。映画を見てもいいし、本を読んでぼんやりと過ごしてもいい。
行きはこれから始まる旅への期待に胸躍らせ、そして帰りは帰りで旅の余韻に浸るのだ。