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Keep My Word

19歳から旅を始めて、スコットランドで英語を学び、アルゼンチンでスペイン語とタンゴを学び、メキシコではサルサをかじり、オンライン英会話/スペイン語スクールを運営している男のブログです。海外滞在歴10年、50カ国ほどぶらぶらしました。

生活するように旅をするということ。

Life Photodiary

ずいぶんと昔の話しではあるが、高校2年の選択科目で「西洋美術史」という授業があった。普段は授業なんてまともに聞かなかったが、この授業のときだけは席を前の方に陣取って熱心に聞いていた。

毎回、授業では世界の巨匠と言われる人たちの作品がスライドで紹介され、ゴッホピカソやモネ、ラファエロなどの作品について先生が講義をした。ゴーギャンゴッホが同棲(?)しており、感情的になったゴッホが自分の耳をそぎ落とす話しや、ラファエロバチカンで天井画を描いている最中、ずっと上をから落ちてくる絵の具のためにほとんど失明した話しなど、興味の尽きない話しばかりだった。

「芸術家とは」と言われたら、真っ先にこのようなエピソードが思い浮かんでしまう。それぐらい感情の起伏や執念がないと、歴史に名が残せるような名画は描けないのだろうなと高校生ながらも思ったものだ。そして、どうしてもそれらを実際に見てみたくなり、翌年にはパリのルーブル美術館、オランジェリー美術館、それにサンクトペテルブルクエルミタージュ美術館などに行った。そして、世界遺産の三分の二があると言われるイタリアに三週間ほど滞在して、イタリアが世界に誇る美術品の数々を堪能した。

それ以来、バルセロナピカソ美術館、アムステルダムゴッホ美術館、マドリッドプラド美術館、ベルリンの多くの美術館など色々と見て回っているが、やはり印象的なのは10代に見た本物の絵画たちだ。授業のスライドでしか見たことがなかった絵画が目の前にあるという事実がただ単純に信じられなかった。

フィレンツェのダビテ像、ルーブル美術館サモトラケのニケ像、ラファエロの天井画、モネの睡蓮、ゴーギャンの「躍る人」などを実際に見た興奮は何ものにも代えがたい。

だからとは言わないが、最近は海外に滞在するときはわざわざ美術館の類は行かない。ただその街をぶらぶらと歩き、気に入ったものがあれば写真に撮る。ものすごくシンプルな旅の仕方になってしまった。

それで楽しいかと言われたら、「まあ、そこそこ楽しい」と答えるだろう。別に旅に興奮などはもう求めていない。違う国の空気を吸い、違う肌の人たちを見て、彼らと会話するだけでも得られるものは大きい。

生活するように旅をしたい。

朝起きて、シャワーを浴び、朝食を食べながらネットをチェックし、仕事をする。そして、気が向いたら辺りを散歩して、写真を撮る。別に悪くない時間の過ごした方だ。見る風景は変わるが、別にやっていることは日本にいるときと大差ない。そのような旅も別にあってもいいのではと思う。これからもしばらくはこのような旅を続けるだろう。特に理由もないが、強いて言うのであれば、「違ったものを見るため」と答えるかもしれない。

本質的に物事は変わらないという形而上学的な事実は抜きにして、環境が変わればそれなりに考え方も変わる。そのような自分を観察するのが、けっこう面白くもある。何かを目指したり欲したりすることは特にないが、常に自分自身を変えていきたいとは思っている。10年も20年も代わり映えのしない自分自身とは、自分ですら付き合いとは思わないから、周囲の人もそう思うだろう。

生活するように旅をする・・・・・・悪くないアイディアだ。