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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

日本企業が行う英語公用語化について

楽天に続き、ユニクロも英語を社内の公用語にすることを発表した。

1. ユニクロ:新世界戦略 英語公用化…12年3月から

2. 三木谷浩史・楽天会長兼社長——英語ができない役員は2年後にクビにします

すべての部署で英語を日常的に使用する必要があれば、当然社内の公用語は英語にすべきだと思う。しかし、実際は特に英語を使う必要のない部署も当然ある。楽天にいたっては、会議に日本人しか参加していなくても、英語を話す必要があるとのことだ。

一体の何のためにこんな馬鹿げたことを言い出しているのだろうか?

英語を話せなくても仕事ができる優秀な人材はたくさんいるだろうし、彼らの能力を最大限生かす努力をすることは雇う側の責務である。英語がまったく必要ない部署にいて、飛び抜けて能力が高いにも関わらず英語が出来ないばっかりに「仕事が出来ない人」というレッテルを貼られる人も出てくるだろう。

英語が出来なくても通訳を付ければ、コミュニケーションは成立させられる。本当に優秀な人であれば、会社としてその人間のために通訳の一人手配することぐらいは何の負担でもないはずだ。

会社は人のためにあるべきであり、会社のために人があるわけではない。楽天の三木谷社長のインタビューを読むと、完全に社員を道具としてしか見ておらず、その道具を自分の野望のためになるべく有用なものとするために「英語をしゃべれない奴はクビ」と言っている風にしか聞こえない。

もちろん、英語習得を強要された側にもメリットはある。語学学習を続ける上で最も重要なことは、いかに必然性を自分の学習環境に作り出すかだ。その観点から言えば、楽天ユニクロに勤務している限り英語を話せないことには昇進は見込めないので、それが学習を継続できるモチベーションとは成り得る。英語をしゃべれるようになりたくても中々しゃべれるようにならない人は、楽天ユニクロに入社すれば否が応でも学習しないと出世は見込めないので、案外成功した英語学習者にはなれるかもしれない。

そして、英語が話せるようになれば、外国人とのコミュニケーションを取ることによって、見識が広がって人生がより豊かになるだろう。

だが、会社としてどの程度まで社員の英語学習をサポートしていくのか疑問だ。特に三木谷社長のインタビューからは、「英語が出来ない奴=仕事ができない奴」という公式が彼の頭のなかを支配していることは明白なので、たかが英語ぐらい自分で勉強しろと言っているような気がする。さらにユニクロのようにTOEIC700点以上という明確な学習目標を提示しているわけではないので、彼が言う「英語が出来る」ということは一体どのレベルを指すのかということも明確になっていないことも大きな問題だ。

TOEIC700点ならば、誰でも勉強すれば取れるスコアだと思う。だが実際に英語が特に必要ではない部署の人たちにとっては「英語をマスターする」という目標が「TOEIC700点取得」という目標にすり代わり、TOEICで高得点が取れるようなテクニックばかり勉強して、結局は英語が話せないという人間が量産されるだろう。

仕事で英語を使うためのアセスメントとして提示するならば、TOIECのようにスピーキングテストがないテストを使用するのは致命的なミスだと思う。ケンブリッジ試験やベネッセのGTECなどスピーキングテストが組み込まれたテストを使用すべきだろう。

革新的なデザインや優れたビジネスアイディアを生み出すための時間が、本当は必要でもなんでもない英語を習得するために費やさなければいけない人たちに対しては心から同情する。

そのような人たちにとっては、英語なんてスキルは犬にとって「お手、おかわり」を覚えさせられるようなことだろう。実生活においては必要ないスキルだが、習得できないとおまんま食い上げというわけだ。

英語なんて習得に阿呆みたいに時間がかかるスキルは、本当に必要な人かいかなる理由であれ心底英語をしゃべれるようになりたいと思っている人たちが身につければいいと思う。「上からのお達し」により英語を勉強する羽目になった人たちが、その中途半端な学習意欲により結局は失敗して、また大量の「英語難民」を作り出さないことを祈っている。

(たしかに三木谷社長の英語は素晴らしいです。でも自分が出来るからといって、ほかの人間も同じように出来るとは限りません。彼は自分自身が飛び抜けて優秀であるということを自覚していないのではないでしょうか?)

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