Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

無駄をそぎ落とし、実を取る選択をするために出来ること。

ドイツの文豪ゲーテは「ローマは一個の世界であって、それを通暁するのには、まず数年を必要とする。だから、通り一遍の見物をして立ち去ってゆく旅行者を見ると、かえって羨ましいくらいだ」とその著書である「イタリア紀行」で語り、ゲーテは実際2年ほどイタリアに滞在した。

だからと言う訳ではないが、人からブエノスアイレスにどれくらい滞在するのかと訊かれたら「2年」と答えている。

ブエノスアイレスに着いてからずっと2年と答えているので、すで半年以上経った今は「あと一年半」と答えるべきかもしれないが、それも面倒くさいのでずっと2年と答えている。

せいぜい長くて半年しか滞在しない外国人たちがやれ「イグアスの滝だ!メンドーサだ!(ワインの産地)」と騒いで旅行に勤しんでいるのを尻目に、日々スペイン語の勉強をし、タンゴのレッスンを取り、日本にいるときと同じように仕事をしている自分がいる。

「日本にいるときと劇的に変わったことは?」と訊かれたらも困るくらい、通常運転な日々を送っている。はしゃぎもしないし、かと言って退屈でもない。そんな当たり前の日々だ。

行きつけの八百屋さんで、「日本語でオラ!ってなんていう?」などという質問に答えながら野菜を賈い、スーパーでは「おまえは日本人なのにマテ茶を飲むのか?」と言われ、そんななんのことはない当たり前の日々を送っている。

20代の頃にイギリスにいた頃はもっとはしゃいでいたが、今となってはそんなにはしゃぎ気にもなれず、淡々と過ごしている。ふと世界的な経済不況に思いを馳せたり、何かしら新規サービスを考え出さないとなどと考えはするが、ブエノスアイレスに住んでいるということ自体にあまり考えは及ぼない。

色々な土地に行ったし、色々な人と話したし、色々な経験もした。そうして、もっと色々な経験をするために、手を変え品を変え日々生活を改善する努力はしている。

当たり前のことだが、自分に出来ることには興味はあるが、出来ないことには興味はない。そんな切り分けがすでに出来ているので、なるべく無駄を削ぎ落として生活している。

「2年経ったら、どうするのか?」とも訊かれるが、別にそんな先のことには興味は湧かないし、その頃には必然と思える決断を下しているだろう。どこに住むかというよりは、何を成し遂げるかのほうがより重要だ。そのための選択肢を増やすために、少しつづ自分の可能性を広げていくしかないと思っている。