Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

語学習得のための残酷な事実について

最近、イギリス人やオーストラリア人とブエノスアイレスで会う機会があり、彼らの共通しているスペイン語の学び方が、「一日最低4時間、ときには6時間から7時間ぐらい語学学校で勉強する」という学習スタイルということを知った。

そんな彼らと話すたびに「なんだかなー」という気持ちになる。仮に彼らがもっと長い期間集中して学ぶのであれば賞賛に値するが、多くの場合は長くて2,3ヶ月しかスペイン語を勉強をしない。

そうして、とりあえずなんとか日常生活で使う言葉は覚えてアルゼンチン、あるいはほかのラテンアメリカ諸国を旅する。母国に帰って2,3年したら一ミクロンもスペイン語を覚えていないだろうが、そのようなことについてあまり彼らは頓着していない。

語学をマスターするのに、集中して勉強することは非常に有効である。でも、結局のところそれにも限界がある。限られた一部の人はそのような方法でマスター出来るかもしれないが、多くの人にとってみれば、そのような勉強方法は苦痛でしかない。日本の受験勉強の延長で、語学を勉強しても意味がない。

ひとつ言えるのは、語学勉強の初期段階において集中して勉強するのは、とても有効だ。自分もブエノスアイレスに来た当初は、毎日のレッスンに加えて、宿題が山ほど出されたので、合計すると一日4,5時間は勉強していた。

だが、最初から自分のなかで明確だったのは、「スペイン語を自分が満足できるレベルで話せるようになるには、少なくても二年はかかるだろう」ということだ。だから、比較的長い目でもっと自分の成果を冷静に判断することが出来たし、なかなか上達しない時期も気落ちしないでどうにかして続けることが出来た。

結局のところ、語学学習の肝は「いかに学習を継続させるか」というただ一点に尽きる。

そうして、語学力向上のカギを握るのは、同じような負荷をかけ続けても、一生今のレベルからは抜け出せないという残酷な事実だ。

手を変え品を変え、自分の足りない部分を見極めて、足りない部分を補って勉強していくしかない。

最初から一日4時間勉強するという目標を掲げることは、馬鹿げている。勉強した時間=学習成果にはけっして繋がらない。語学学習においては、努力が期待を裏切ることが多々ある。

「そこそこのスペイン語」「そこそこの英語」「そこそこの〇〇語」から抜け出るのは、至難の業だ。

人はなんでも誰かや何かを頼りにしたい弱い生き物だ。だから、あほかと思うような「寝てるだけでマスターできる英語学習方法」とか「聞くだけでマスター出来る!」というキャッチコピーに踊らされるのだろう。

「何時間勉強したから、きっと自分は上達する!」というのも幻想だ。最終的には学習の質がモノを言う。誰でも勉強なんてしたくない。だからこそ、最短距離で走ることを目指すべきだと思う。そうしても結局は遠回りになるのだから。

何度も言うようだが、「質で量を補うことは出来るが、量で質を補うことは出来ない」ということだ。

オンライン英会話スクール「ワンズワードオンライン」を開校前から常々思っていたことだが、まさか日本から遠く離れたブエノスアイレスでこのことを自分自身で追体験するとは想像していなかった。