ふとしたきっかけでブエノスアイレスのジャズクラブに行くことになり、そこでたまたま隣り合わせた60代のアルゼンチン人のご夫婦が、同じジャズクラブで演奏した日本人のバンドネオン奏者がとても素晴らしかったと聞いた。
「えーと名前は・・・・ほら、日本のメーカーで工事現場とかでよく使う重機とかのメーカーで・・・・すごく有名でしょ?」とそのバンドネオン奏者の名前が思い出せないご夫婦だったが、あんまりピンと来ない自分も分からなかった。
そして、しばらくすると「あああ!小松亮太だ!」と教えてくれた。奥さんのお姉さんはアルゼンチンでも有名なピアニストらしく、でもそのことはあまり人には言いたくないとのことで、その奥さんがタバコを吸いに外に出た時に、ご主人がこそっと教えてくれた。
そんな音楽大好きアルゼンチンご夫婦が絶賛した小松亮太氏の演奏です。
な、なにこのハイクオリティ!小松亮太氏の名前は知っていたが、こんなにも素晴らしい演奏家だったとは・・・・・自分の不明を恥じた。
アルゼンチン人から絶賛されるだけあり、タンゴというものを完璧に理解し、それをさらに自分なりに解釈してアレンジして演奏しているのが素晴らしい。
YOUTUBEのコメントにも「que éxito, eres brillante y ASTOR estaría orgulloso como lo estamos todos los argentinos de escucharte atentamente! GRACIAS!!!!!!!!」とあり、意訳すると「ほんと、素晴らしい!作曲者のピアソラ(故人)もこの演奏を聴いたアルゼンチン人全員と同じようにあなたのことを誇らしく思っているに違いない、ありがとう!!」というアルゼンチン人のコメントがある。
日本人って、ほんといい意味で変態だなと時々思う。自国にない文化を自分のなかに取り込み、それを昇華してアウトプットする能力にこれほど長けた民族もそうそういないと思う。例えば、尺八を日本文化の文脈に沿って理解し、それをさらに高めた形でアウトプットしているアルゼンチン人演奏家が日本で演奏することを想像して欲しい。
それはそれで素晴らしいことだけど、なかなかそう出来ることではないことが容易に想像出来るはずだ。
小松亮太という素晴らしい演奏家を知ったことだけでも、非常に有意義な週末だった。
※ちなみに行ったジャズクラブはNotoriousというところです。雰囲気も演奏の質も高い良質なジャズクラブだと思います。