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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

ブエノスアイレス事件簿:ゴルゴ13を目指して

ブエノスアイレスは事件には事欠かない。

一昨日も地下鉄を出て、ボーとエスカレーターに乗っていたら、2段前に乗っていた男がなぜか一段下がってきて、やたらと距離が近くなった。

この時点でおかしいとは思ったが、そのままにしておくと、なにやら嫌な予感が走り、案の定人の前のポケットをまさぐって、財布をすろうとしていた。

巧妙なことにまずは手に持っているジャンパーがこちらに当たるように仕向け、そして友人と談笑しながら、こちらの注意を逸らしていた。でも、やはりシチュエーション的におかしかったので、間一髪のところで助かった。

そして、昨日はスターバックスでカフェ・モカを飲んでいたら、男の怒鳴り声が聞こえてきて、何かと思ったら、女の人に向かって今にも殴りかからんばかりな剣幕でその男が怒鳴っていた。

どうやら、その女の人は違う女の人のバックを盗ろうとして、その男に見つかり、怒られていたらしい。筋肉ムキムキの男の人だったので、逆に窃盗未遂をした女性に同情を覚えたほどだ。

そのあと警察が呼ばれ、日本ならば普通に警察署に連れて行って事情を訊くと思うが、ここはブエノスアイレスなので、そのあとぞろぞろと10人以上の警察官が登場し、スターバックスで事情聴取を始めた。

そんな大規模な窃盗未遂事件があったスターバックスで最も驚いたのは、隣に座ろうとしたアルゼンチン人男性が自分のノートパソコンとカバンをテーブルの上に置いて、こちらを見て「にっこり」微笑んでから、飲み物を買いに行ったことだ。

アホなんだろうか?

平和ボケしている日本でもノートパソコンをテーブルに置いて、飲み物を買いに席を離れないだろう。少し席を離れてたアルゼンチン人の男の人と目が合ったので、「あいつ、どうかしているよな」と頷きあった。

こんな小さな事件は日常茶飯事だが、アメリカ人の友だちの空き巣事件はアルゼンチンの新聞に載るほど大きな事件だった。

彼の家は空き巣に入られ、パソコンなどその他諸々のものが盗られた。ここまでは本当によくある話だ。ちなみにこの話を聞いていたアルゼンチン人の友人マウロの家も去年空き巣に入られて、彼が何よりも愛しているWiiを盗まれたらしい・・・・

ただ違ったのは彼はエンジニアなのでパソコンに詳しく、あらかじめ盗まれた時のためにパソコンを起動すると自動的にIPアドレスを送るソフトをインストールしていた。(こんなソフトや、ほかにもこんなのもあります)

そして、パソコンが盗まれた2,3週間後にIPアドレスを追跡しおおまかな住所を割り出して警察に連絡した。そうしてまたしばらく経った後に警察から連絡があり、盗まれたパソコンがある場所を特定出来たので一緒に来て欲しいとのことだった。

行ってみるとそこには大量のパソコンや現金なども保管されている倉庫らしく、100万ドル程度の価値あるものが見つかったらしい。よって翌日の新聞には大々的に掲載され、その新聞には「警察のハイテク部門が最新技術を駆使して、犯人の居場所を突き止め、見事に捕まえた」とあったらしい。

実際は彼が、ソフトをインストールしたおかげなのだが、そこはさすがラテン系のアルゼンチン!全部、自分の手柄にしてまった。

後日談として、その彼のルームメイトのアメリカ人の女の子に警察官は何度も電話してきて、「英語教えてくれよ」と口説きまくっていたらしい・・・・・一向に治安が良くならない理由がよく分かるエピソードだ。

油断も隙もないここブエノスアイレスだが、ボケ防止にはいいかとすでに開き直って考えている。それにブラジルなどと比べて、まだ暴力的な事件はそれほど多くないのが唯一の救いだ。

日本にいると気づかないだろうが、やはり平和が一番だとは思う。ただ、日々事件に事欠かないブエノスアイレスだが、愛すべき点もたくさんあるので、まだまだこの街に住み続けるつもりではある・・・・今度、違う国に住むとしたら、安全な国がいいなと思う今日この頃ではあるけど。