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Keep My Word

19歳から旅を始めて、スコットランドで英語を学び、アルゼンチンでスペイン語とタンゴを学び、メキシコではサルサをかじり、オンライン英会話/スペイン語スクールを運営している男のブログです。海外滞在歴10年、50カ国ほどぶらぶらしました。

職人のいない国:アルゼンチン

新しいマンションに引っ越した。

新築マンションなのでまだガスなども通っていなく、非常に不便ではあるが、マンション自体のクオリティは良く気に入っている。

そんな新居のために色々と家具を選び、購入するのも楽しい作業だった。

そんなこんなでオーダーメイドでテーブルを購入した。日本では注文家具は10万円以上するかもしれないが、ここブエノスアイレスは比較的手頃な値段で買える。そんな土地の利を活かして購入したテーブルを先週搬入されたのだが、とんでもない欠陥品であることが判明した。

それがこれだ!

Mesa06

なんだ、これ!

そ、反っている!

エビぞりかというくらい、反っている!

Mesa07

テーブルの四隅にいたっては、上記のようにぼっかりと空間が空いている。反り過ぎて、浮いてしまっているのだ。

その店は幸か不幸か新居からほど近かったので、散歩がてら文句を言いに行ってみた。そしたら、店の主人がたまたまおり、挨拶がひと通り済んだ頃を見計らって、話を切り出した。

「あの、テーブルが反ってしまって、めっちゃ不安定なのですが・・・」と切り出したところ、店の主人はこちらの話を途中で遮り、「おまえのデザインのせいだ!」と逆切れを始めた。

ちょっと待てと。

詳しく説明すると、この店はオーダーメイド家具の店だ。いわば客の要望に応じて、家具作りのプロが実用に耐えうるように製作するのを生業としている。

こちらのデザインが悪いって、あんた、そんな言い訳ありか!とさすがに温厚な日本人である自分も多少いらっとした。

で、「デザインとか全く一切関係なく、ただ木の材質が悪く、あんたの仕事が悪いからだ」と冷静に言い返した。しかし、親父はひたすら「デザインのせいだ!」と言い張り、こちらに詰め寄り始めた。

おっさんがヒートアップしても、正直このような言い合いには慣れているので冷静に、「じゃあ、実際のブツを見に来いよ、家近いし」と言ったら、「いやだ」と親父が答える。

なんだこの親父と思いつつも、結局のところ「写真を送るからそれを見て判断する」という理性的な落とし所をつけて、今日のところは帰ってきた。

しかし、面白い。

客の要望に応じて、オーダーメイドで家具を作って売る家具屋が、事もあろうに責任すべてを「客のデザインのせい」にするとは。しかもデザインなんてこちらもたいしてしておらず、日本の家具屋のサイトに載っていた良さげなテーブルの写真を見せただけだ。

もし、自分が家具職人だったら、木の反りなどを計算して、色々と考えながら家具を作るが仕事の醍醐味と思うだろう。日本で職人と言われる人たちはみんなそうだと思う。だが、そういう意味でこの国には職人といわれる人たちは見当たらない。この家具屋もデザインする人と、製作する人が別れているので、机上では立派なものが出来るが、仕事に愛情など一切感じていない人たちによって作られるので、完成品は劣悪だ。

例えば、引っ越した新築マンションも大学で建築を教えているような結構名の通った建築家がデザインをしたのだが、実際に働く土方の人たちは仕事に誇りも何もないので、仕事が非常に雑だ。

今日もペンキ塗りたての黒い鉄板を持ってきて、白い戸棚の裏に張って、そのあとその真っ黒な手で白い戸棚を持とうとしたので、「ちょっと待って!」と言って、明日来てもらうように言った。

万事が雑なので、新築なのにも関わらず、天井や壁などにはぶつかったあとの傷跡がたくさん付いている。神経質な日本人がこの国に住んだら、発狂するだろう。

逆に自分がアルゼンチンに生まれたら、日本に住みたいと思うかもしれない。ほとんど万事が滞りなくいく日本は奇跡だからだ。

結局のところ、隣の芝生は青く見えるということなのだろうか・・・・・今日の収穫は、「スペイン語で相手に怒鳴られても、冷静に切り返して、両者が落ち着く着地点に持っていける程度のスペイン語でのコミュニケーション術」を身に付けたことを確認出来たことか。

明日、晴れるといいな。