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Keep My Word

19歳から旅を始めて、スコットランドで英語を学び、アルゼンチンでスペイン語とタンゴを学び、メキシコではサルサをかじり、オンライン英会話/スペイン語スクールを運営している男のブログです。海外滞在歴10年、50カ国ほどぶらぶらしました。

優秀な先生の資質について:ブエノスアイレスのアルゼンチンタンゴ

KeepMyWord ブエノスアイレス

誰にでも苦手なもののひとつはふたつある。

当たり前の話だ。

だが、例えば好き好んで何かを習う場合、わざわざ自分が苦手な分野に手を出すアホがいるだろうか?今まで真剣に自分から進んで習ったことは、英語、スペイン語、それに今取り組んでいるポルトガル語、また30歳過ぎて始めたテニスだけだ。

どれも得意な分野だし、人よりも多少は上達が早いと自負してもいる。

じつは、ここブエノスアイレスに来てから手を出したことがもうひとつある。それはタンゴだ。「アルゼンチンにせっかく来たのだから、ここはひとつタンゴでも習おうか」と安易な気持ちで始めたのだった。

しかし、これが難しい。

時々、タンゴのことをものすごく誤解している人たちがいるが、タンゴは男性にとってのほうが女性にとってよりも数倍難しい。なぜなら、男性が女性をリードして、すべてのステップを体を使って指示し、なおかつリズムに合わせて、タンゴの曲を踊るのだ。分かりやすく箇条書きにするとこうなる。

1.リズムに合わせる

2.ステップを踏む。

3.自分のステップを踏みながら、女性も同じステップをするように体を使ってリードする

4.曲に合わせて、緩急交えながら踊る

この4つのことを男性は同時になおかつ当然のようにリズムに合わせて行う必要がある。

だから、男性にとっては敷居が高過ぎる踊りと言える。相当な音楽的才能の持ち主か、努力を怠らない人しかまともにタンゴを踊れるようにはならないのだ。

ちなみにタンゴを踊る際に致命的な欠陥として、自分はリズム感がなかった。だから、タンゴを始めたころは何がなんだかさっぱり分からず、とても苦労した。それを救ってくれたのが、ステラ先生だ。


Stella Barba-Victor Romero Tango por tanguito94

(ちなみにこれは20年前くらいの映像で、さらに現在20キロぐらい体重が加算されています。でも動きのキレは未だ抜群です。またタンゴの踊りは基本は即興で振り付けなしです。もちろん、ショーなどは別ですが)

彼女のプライベートレッスンを取り始めた半年間は、ほぼ毎回リズム感を養う練習に割かれ、「これでもか!」というほどリズムに合わせて体を動かす練習をした。正直、「辞めようか」と思ったことも一度や二度ではない。むしろ毎週行くタンゴ・レッスンがあまりに苦痛で、辞めるタイミングを図っていたといっても過言ではない。

それでも続けてこれたのは彼女が毎回熱心に教えてくれ、励ましてくれたことが一番大きい。それがなかったら、今まで続けてこれなかっただろう。最近になってミロンガという男女が集まってタンゴを踊る場所に行くようになったが、踊った女性から「リズム感がいい」とほめられるようになった・・・・すべてはステラ先生の賜物なのだが。

このような経験を踏まえて思うのだが、やはり先生次第だなとつくづく思う。ほかの多くの先生に習ったが、そこまで熱心に教えてくれる人もいなかったし、多くは観光客目当ての金稼ぎで、たいしたプロ根性もない。

ちなみにステラ先生はタンゴ界では知る人ぞ知る人で、「タンゴ界の生き字引」と言われている。このあいだ彼女が主催しているグループレッスンに行ったのだが、タンゴの雑誌をちらちら見ていると、そこに一面広告を出している有名なタンゴの先生を指さし「この子は私が教えたのよ。今ではすっかり偉くなったようだけど、まだたった5年しかタンゴを踊ってないのよ」と言っていた。

ステラ先生のタンゴ歴はおそらく30年以上なので、そんな人から見ると、まあどんなエライ先生でもそうなるわなと思った。踊りが上手い先生はいくらでもブエノスアイレスにいると思うが、「タンゴを教えるのが上手い先生」は少ない。

例えば英語のネイティブ・スピーカーでも「英語を教えるのが上手い先生」が少ないように、何かを教えるというのは高度なスキルが要求されるのだ。

苦手なことでも、優秀な先生に師事し、自分でも努力を怠らなければ、報われる日はいつかは来るのだなと思う。ステラ先生から見れば、まだまだ初心者なので、いつか彼女が驚くぐらいのステップを踏めるようにしばらくは彼女のレッスンを取り続けるつもりだ。

※ステラ先生は毎週土曜日夕方5時から、ここでグループレッスン教えていますので、ブエノスアイレスくんだりまで来た際はぜひお立ち寄りください。