Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

ブエノスアイレスのとある雨が降る一日より

ブエノスアイレスは昨晩から雨が降っている。

たいてい夜だけ降って朝には上がっているのだが、今日はいまだに雨が降っている。

雨が降ると予定が変わる。

多くの人は雨の日の外出は億劫となるので、予定はキャンセルされ、またキャンセルされなくても、大幅な遅れとなる。

急いで行こうと思っても雨の日はタクシーは捕まらず、電話しても40分待ちなどざらにある。

日本では雨が降ろうが、槍が降ろうが、予定は予定できちんと消化されるが、この国ではそんなことはない。元々、雨が降らなくても予定は変更されたり、忘れられたり、直前になってキャンセルされたりする国だ、

このあいだも「お掃除の人」に来てもらおうと、2回ほど呼んだが、2回ともなんの通達もなくキャンセルされた。

(ここアルゼンチンでは、掃除の人を雇っても、1回1000円くらいにしかならないので外国人は基本的にみんな誰かしら雇っている)

来なければ、仕方がないので、結局自分で掃除しているのだが、男3人もいるので、なかなか男臭は取れない。

そして、ここブエノスアイレスの滞在も残すところ、あと一週間。

本当にあっという間だった。

この国は生活するだけで、時間が経過するので、いつも色々と「何かやるべきこと」を抱えることになり、忙しく立ちまわることになる。それでも、それはそれで楽しい。

このあいだも、今家に居候しているマイクが買ってきたコンセプトのアダプターを挿したら、火花が上がった。火花というかかなり盛大な火があがった。

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(こんな感じのアダプターが街中のいたるところで売っている)

ちょうどテレビの裏にあるコンセントに挿したので、そこにはテレビ、インターネットのモデム、それにオーディオなど重要な電子機器が置いてある。

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(このテレビの裏にあるコンセントが火花があがった現場です・・・・あれはすごかった)

特にインターネットのモデムが死ぬと、当然インターネットが使えなくなるので、慌ててマイクと二人で違うコンセントに挿したが、モデムは死んでいた。

そして、なぜか家中の電気が死んでいた。

さらに言うと、あたり一帯の電気が死んでいた。

あろうことかマイクが火花を飛ばした瞬間に、あたり一帯が停電したらしい。

マイクの仕業なのかもしれない・・・・・

まあ、さすがにそれはないだろうが、全くナイスタイミングな停電だ。

熱帯夜だったので、そのまま家にいてもしょうがないので出かけたが、あとからマイクから連絡があり、電気が戻った一瞬の隙に落ちていた家のブレーカーをあげたら、すべての電気が正常に作動したらしい。

もちろん、モデムも問題がなかった。

あれだけの火花が散ったので、てっきりコンセント全部がおかしくなったと思ったが、ブレーカーが落ちていただけらしい。

本当に助かった。

それにマイクもあやうく感電するところだったし・・・・・

ブエノスアイレスの生活は一歩間違えれば、死と隣り合わせだ。

もし、本当にコンセントが死んでいたら、当然電気屋を呼ばなくてはならなかった。

呼んでも来ない電気屋だ。

彼らを呼ぶために一体何度電話しなくてはいけないかを考えると、気が遠くなる。お金の問題よりも、そっちの問題のほうが大きい。

彼らはたいてい電話すると、「明日行くから!」と景気のいい返事はするが、当然来ない。

「いつの明日だ!」といつも思う。

そうして、来てくれた頃には、「来てくれただけでありがたい」という感じになり、その仕事に対してのクオリティーに関しては、ジャッジが甘くならざるを得ない。

幸せな国だ。

仕事に対してのストレスが全く違う。

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そうして、なんだかんだいって、テリー先生の写真が撮れた。

今までワンズワードのなかで唯一、写真すらなかった先生だ。

少なくても、ブエノスアイレスに来た甲斐はあったと言える。

そして、こうやって自分の人生への期待はどんどん縮小し、こんな小さな成功で喜ぶことになるのだろう。

時々、僕は一体この国でなにをしているのだろうと思う。

一生懸命にタンゴのレッスンを取っているが、別にそれが何かの足しなるとは思わない。

ただの趣味だ。

生活にこれほどの時間と労力をかけて、何が楽しいのだろうかとは思う。

それでも、また懲りずにこの国で生活をして、「ああだ、こうだ」と文句を言いながらも、結局のところそんな生活が気に入っているということを自覚している。

そんなこんなでブエノスアイレスの雨はやみ、太陽が雲から覗き、こうしてまた一日が過ぎ去っていく。別にそんな毎日も嫌いではない。

全く嫌いではない。

明日はまた真っ青な青空をこの街は見せてくれるだろう。

それが待ち遠しい。