Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

GENE BOYDに捧ぐ

ジーン・ボイドのことについて書こうと思う。
彼が亡くなってから、もう半年ほど過ぎた。

ジーン・ボイド

彼と出会ったのはアムステルダムで開かれたドキュメンタリー・カメラマンのための ワークショップだった。
笑顔がデフォルトのやつだった。
僕のなかでは笑っている彼の顔しか思い浮かばない。

彼の死は余りに唐突だった。
フィリピン南部に取材に行き、夕日を撮った帰りにテロリストに額を撃ち抜かれて、即死だ。

そこには意味も理由もない。
ただどうしもない現実が横たわり、僕らが共有した記憶を残酷なものにする。

ワークショップの最後の日に、フランス人のイルダとタイ人のケオとの三人で、20人いるうちの何人と果たして今後連絡を取り合うかお互い話し合った。
そのなかの大多数とはもう二度と会わないことはそれぞれ承知していた。
けれども、ジーンのような形で会えなくなるなんて、そのときの僕らの想像をはるかに超えていた。

すでに20人のメンバーだったうち、名前を覚えているのは半数以下で連絡を取り合っているのは数人になってしまった。

きっとジーンのことは忘れない。
そして、彼の笑顔も僕の中では永遠だ。

僕はこれからも時々、彼のことを思い出し、静かに祈るだろう。
たぶん、それも誰もが寝静まった夜に。
そして、自分の人生を振り返り、精一杯生きようと思う。