Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

パリな夜

昨日はシンガポール人のアーネストに会った。
パリで別れて以来だから、二年以上も会っていない。
彼とはアムステルダムで開かれたドキュメンタリーカメラマンのワークショップで会ったが、それほど頻繁にやり取りをしていたわけではない。

そんな感じなので、彼との思い出はパリで終わっている。
特にパリでは彼にとてもお世話になった。
とある理由で、泊めてくれていた友人の都合が悪くなり、彼の友人宅でお世話になったからだ。彼とはパリを発つ日が一緒だったので、最後の晩を一緒に過ごした。

充実した旅だったが、お互い様々なことを経験した。
イタリア料理屋でワイン片手に遅くまで飲んだ。
なんだか遠い昔のようだが、それほど前のことではない。

凍えるような真冬のパリだった。
それなのに、僕はのんきに「ロード・オブ・ザ・リング3」を見に行き、終わる時間を調べないで、待ち合わせ場所で彼をずいぶんと待たせてしまった。

僕達のあいだにあるのはお互いカメラマンであるということと、いくばくかの共有した時間だけだった。
それが昨日また繋がった。
一点でしかなかった記憶が再び繋がるのは不思議な感覚だ。

僕達の思い出はパリに凝縮されていた。
なんとなしに彼とはまたパリで再会するのでは、思っていた。
それが二人にとって自然な感じがしたからだ。

タイで同じワークショップで知り合ったケオと再会したときは、それほどの違和感はなかったが、アーネストと東京で会うのは変な感じがした。

ケオが僕にそうしてくれたように、僕はアーネストにご馳走し、きっとアーネストはワークショップの誰かが彼を訪ねてきたら同じようにご馳走するだろう。
そんな形で何年かに一度は一緒に時を過ごした人たちが、地球のどこかで再会を果たしていると思うと、素敵な気分になる。