Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

ブエノスアイレス散歩

ブエノスアイレスはとても散歩に適した街と言える。

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南米のパリと称されるが、本家のパリと比べると粗は目立つ・・・・2年も住むと粗しか見えなくなるが、久しぶりに来ると、なんだか素敵な街にも思えてくる。日頃から、友人知人から窃盗や強盗の話を聞かされることなく、この街を歩くととても気分はいい。デフォルトやクリスティーナ大統領や闇ドルの話などからも蚊帳の外にいながら、この街を闊歩すると不思議と快適だ。

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ブエノスアイレスでは、カルフールなどの大型スーパーも進出しているが、野菜は八百屋、肉は肉屋で買うのが一番鮮度がいいし、値段も安い場合が多い。大型資本を活かして、もっと鮮度がよく値段も安いものが作れないのかとは思うが・・・・そんなことを考えるときりがないので、あまり詮索しないほうがいいだろう。

住み始めた当初は「市井の人々の会話が楽しい」などと悠長なことを言っていたが、2年も経つ頃には「スーパーのほうが良くねえ?いや、むしろイオンが欲しい!」と良からぬことを考えたものだった。イオンがアルゼンチンに進出してきたら、あらゆる店が潰れるだろうが、たぶんそんなことは100年も先の話だろう。この国はいつまでたっても競争原理にさらされずに、牧歌的な世界で暮らしていく気がする。

世界はいずれ食糧難で苦しむことになるだろうが、この国の食料自給率は200%を超えているので、飢えることは決してない。元に、すでに財政破綻しているのに、一部の品物を除けば、それほど困ることはない。もちろん、イオンのような品揃えは、極東にある天国の国の話であって、この国とは一生無縁だろう。

ブエノスアイレス

歩くのに疲れたら、アルゼンチン自慢のジェラートを食べに休憩すればいい。アルゼンチン人に聞くと、誰もが自分のお気に入りのジェラート屋を薦めてくるが、観光に来た観光客であるならばFreddoに行っておけば、まず間違いない。ここのジェラートは本当においしいし、きっと満足するだろう。

散歩の帰り際に偶然会った下の階に住む気のいいアルゼンチン人に、「最近、近所に出来たジェラート屋があるけど、あそこはたぶんブエノスアイレスで一番だと思う!」と熱烈に薦められたが、すでにこの会話を何度したことだろうか?

そういえば彼とは1年ぶりに会ったけど、とても歓待してくれた。「ユウキ!」と向こうから声を掛けてくれたけど、こっちは未だに相手の名前が思い出せないのはここだけの秘密だ。

久しぶりに会う友人知人たちはとても歓待してくれるのが、なんだか嬉しい。日本やメキシコでも歓待してもらえるが、アルゼンチン人特有のオーバーなジェスチャーや感情表現が、なんだかコミカルに感じられて、愛しい気持ちさえ感じる。

アルゼンチンのタンゴ

それにここブエノスアイレスにはタンゴがある。

久しぶりに以前取っていたタンゴの先生のクラスを取ったが、やはり素晴らしい。このクオリティーがなぜほかのことに活かせないの不思議でしょうがないが、そんなことを言っても仕方がない。1年前に来た時は、ただ闇雲にあらゆるタンゴの先生のクラスを取ったが、今は自分が厳選した先生だけのクラスを取るようにしている。

取捨選択、それはこの国で生きていくにはとても大切なことだ。

ずっとこの国に住み続けると、とてもストレスを感じるが、たまに来るには自分が欲しているコンテンツはすべて揃っていると言える。

仕事の息抜きに散歩するだけで楽しいし、気のいい友人もいて、さらにタンゴがある。あとはイオンやおいしい日本食レストランがあれば最高だけど、そんなことは工夫次第でなんとかなるだろう。

去年はブエノスアイレスに2ヶ月だけ滞在したが、今年はもう少し長く滞在しようと思っている。一旦、3月にはメキシコに戻るが、また今年中に来るつもりだ。人生何も期待しなければ、その分ちょっとした驚きや新しい発見がある。

良くも悪くも、この国は変わらないだろうし、それを期待しても無駄だ。

それは人生にも言える。 期待すれば、期待するだけ裏切られるリスクが増える。

何も期待せずに粛々と自分の出来ることに取り組み、今日の自分よりも明日の自分のほうが好きになれるように努力すればいいのだろう。人生なんて、きっとそんなことから変わっていく。

タンゴとジェラートとワインにまみれながらそんなことを思ったブエノスアイレスの夜だ。