今日はメキシコ滞在最後の日だ。
そして、昨日の夜は何時ものごとくアビマエルと最後の夜を過ごした。
歴史地区の小洒落たメキシカンレストランで食事をしてバーを二軒ハシゴして、それから素敵なジャズバーへといった。
恋人同士なら完璧なデートコースと言える。二人で仲良くグアテマラの名酒ロンサカパというラムを傾けながら、ジャズを聴いた。
悪くない夜だった。
最後にアビマエルがほろ酔いながら、こんなことを聞いてきた。
「ユウキにとって、このほぼ二年に渡るメキシコ滞在はどういう意味があり、どんな影響を人生に及ぼしたの?」
正直、ほろ酔い気分ではまともに答えられない質問だ。メキシコで初めて知り合ったメキシコ人が彼アビマエルだからこそ、ずいぶんと長居をしてしまった。メキシコ人はみんな彼のように思慮深く誠実で時間厳守の人達だと思い込んでしまったのだ。
だからこの国にはとんでもないほどの可能性があると思ったが、アビマエルはいわば特別な人でそのほかのメキシコ人はそんなことはないと気づくのに時間がかかってしまった。
メキシコ滞在にどんな意味があったか?
自分でも整理がまだつかない。この国に未練はあるし、また戻ってくるつもりだ。オンラインスクールという形態ではなかなか厳しいのでほかのビジネスも検討している。
この二年で信頼できるメキシコ人の友人を一人得た。その意味するところはこれから見つけていけばいい。
日本にしばらく滞在したあとまた違う国へ行こうと思う。メキシコかもしれないしアルゼンチンかもしれないし、未知の国かもしれない。
このメキシコ滞在の二年が無駄ではなかったと思える未来をつくっていきたい。