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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

ギリシャの哲人を思いながら、アルゼンチンで過ごす冬

真夏の日本から真冬のブエノスアイレスとやってきた。 真冬といっても最低気温が10度前後なので、すこぶる快適ではある。

ba2015

真夏の日本よりは過ごしやすいことは確かだ。 今年は大統領選挙があるので、なにかと不穏の空気が流れているが、外国人にとっては直接的な影響はそれほどないだろう。

軽い気持ちでブエノスアイレスに来て2年も住んだが、そのあともこれほど多くの関わり合いを持つとは思っていなかった。

ブエノスアイレスの魅力は?」と訊かれれば一瞬返答に困るが、やはりその広大なスペース、それにタンゴと言えるのかもしれない。

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人的要因で経済は機能していないが、世界がこれから水不足と食料不足になるのだから、豊富な資源に恵まれたこの国の未来はそれほど暗いものではない。この国が隆盛を極めたのも、もとはといえば戦争のせいで世界が食料不足に陥って、それでたくさん外貨を稼いだ経緯がある。

アルゼンチンにはなんのテクノロジーもイノベーションも期待はできないかもしれないが、「食料と水」という最強のカードを今後有効に使えば、それなりの発展を遂げるのではないかとは思う。

時々、アルゼンチン人は自分の間違いを認めない頑固な人が多いと聞くが、より彼らのことを深く知ると、もしかしたら「間違いや過ちを認識できるほどに物事をよく見て考えて、理解していない」のかもしれないと思うようになった。

うっすら自分の間違いをわかってはいるが、それを認めるのは悔しいかったり恥ずかしいので、それを認めないと思っていたが、そういうケースがすべてではないのかもしれない。

職人のいない国:アルゼンチン

そうなると上記のような例も、なんとなくもっと深く理解できる。

「だから何?」と言われても困るのだが、物事や人々を深く理解することは人間の成長を促すことは確かだ。

ギリシャの哲学者ソクラテスさんは「知らないことを知っていると思い込んでいる人々よりは、知らないことを知らないと自覚している自分の方が賢く、知恵の上で少しばかり優っている」と言ったが、間違いを間違いとすら認識できない場合は、どうなるのだろうかとふと思った。

ただ人も国も「自分の間違いを認めることから、自身を向上できる」ことだけは確かだ。 そして、自分の間違いを認めるには、その出来事へのより深い理解と認識力が必要なのだろう。

そんな取り留めのない考えをしながら、アルゼンチンで過ごす冬が始まった。