Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

Photodiary

いとしのサルバドール

朝の四時半に起きて、タクシーに乗り込みリオ国際空港へ向かった。 相変わらず安物の目覚まし時計はデタラメな時間を示すので油断ならないが、早起きは得意なのでこんな時間でもばっちり目は覚める。 タクシーは昨夜のうちに手配しておいたのだが、このおじ…

本日も快晴なり

リオは今日も快晴だ。 サンパウロではまったく天気に恵まれなかったが、リオでは晴れることが当たり前らしい。昨日のサンドラの話ではリオでも雨が降るらしいが、今はそんな気配すら感じられない。彼女いわく、雨のリオは最低だとのことだ。「雨のイパネマ」…

サンドラ

やはり時差ボケなのか朝4時半には目が覚めてしまった。これから向かう国際空港から旧国際空港までどれくらい時間がかかるが分からないが、時間的余裕は十分あるだろう。ホテルから地下鉄の駅まで歩いてすぐだったので、地下鉄を乗り継いでバス乗り場に向か…

C違い

目が覚めると、あたりはまだ真っ暗だった。成田空港で買った安物の目覚まし時計は8という数字を示しているが、明らかに8時ではないことだけは確かだ。今から起きても仕方がないが、妙に目が覚めている。窓からは東洋人街名物の鳥居が見えたので、暇つぶしに…

ブラジル上陸

サンパウロの空港に降り立ったのは、日本を経ってから24時間近くを経過した2008年1月1日午前10時半だ。新年を迎えたのは、ニューヨークからサンパウロへ向かうどこかの空の上になる。生まれて初めて、まったく無意識のうちに新年を迎えてしまった。何かと祝…

アップグレード

あと数日でブラジルへと旅立つ。 なにひとつ実感は湧かないが、向こうはどうやら真夏らしい。 真冬の日本にいると、本当に地球の裏側の国では真夏なのかいうことさえ、疑わしく思えてしまう。子供の頃は「世界」が果たして存在するのか疑っていたくらいだ。 …

必死な自分を軽蔑すること

知らない町の知らない場所で迷子になった。 仕方がないので、人に道を訊ねた。 一人目と二人目はまったく間違った道を、とても親切に教えてくれた。 三人目はガードマンのおじさんだったが、ぶっきらぼうに正しい道を教えてくれた。 間違った道を教えてくれ…

サンパウロヘ

結局、ブラジルに行くことにした。 遠くへ行かねばと思ったから、行くことにした。 伊豆の温泉に満足するにはまだ早い。 やはり、自分自身を危険に晒して、楽しみたいという気持ちがまだある。 もちろん、むやみにやたらに危険を渇望しているわけではないが…

強さとは

以前、チベットの高僧の講演を聴きに行ったとき、「人生の最大の敵は期待だ」と言っていたことを最近ふと思い出す。 なんだかとことん疲れている。 よくは分からないが疲れというのも所詮は気分の問題だ。 肉体的な疲れは精神的な疲れに比例している。 (逆…

北の大地

距離が心地よい。 過去が美しく思えるのは、現在と距離があるからなのだろう。 新幹線に乗って、函館まで行ってみた。 東京からの遠さに安心する。 空気の濃度すらも、人口密度に比例して、いくぶん薄い気がする。 そこで生活できるとは思わないが、大きな土…

日々の選択

時々、自分が心底馬鹿ではないかと思うことがある。 たとえば、今日は20回以上も作ったことのある麻婆豆腐のレシピが分からなかった。 ファイルされたレシピを見て、「おっ、砂糖も入れるのかと」と今更ながらに驚く始末だ。 そんなアンポンタンな脳みそでも…

お盆にチェット・ベッカーを聴く

彼のトランペットは物悲しい音色を奏でる。 あれは忘れもしない19歳のバレンタインデーだった。 渋谷のレコファンで「マイ・ファニー・バレンタイン」というアルバムを見つけて衝動買いした。 アルバムのタイトルとなっている最初の曲で完全に参ってしまった…

ハーフタイム

ふと気が付くと、ロンドンの場末のクラブで酩酊しながら新年を迎えてから、もう半年が過ぎた。当たり前のことだが、半年とは一年の半分であるわけだ。 サッカーでいうところの前半がもうすでに終わってしまっているわけである。 またサッカーとは違い悠長に…

タクという日本人

19、20歳のころは狂っていた。 なにも比喩的な意味ではなく、事実かなり頭がおかしくなっていた時期だ。 証拠を上げたらきりがないが、そのひとつにイギリス留学中は一切日本語を話すことを自分自身に禁じたことだ。 なぜそんなことを自分に課したかは今とな…

ロング・グッドバイ

ロング・グッドバイを本屋で三度手に取り、四度目でようやく買った。 理由はいくつかある。 まずは、うんざりするほど分厚本だからだ。 そして、チャプター1は読みきったが、その先がどうなるのかイマイチ見当がつかず、買うのをためらった。 あの分厚さを読…

BABEL

人は気付かないあいだに他人を傷つけてしまう生き物だという。 果たして、本当にそうだろうか? 誰もが自分にされたら嫌なことぐらいは自覚している。 けれども、それを他人に対しては平気でしてしまう。 すべては想像力の問題なのかもしれない。 人は他人が…

人生のゴール

時々こう思う。「旅とはなにかを得るためにするのではなく、失うためにするもの」のではと。 すべてを捨てて、どこか遠い国へ行けたらと思う。 現実に嫌悪しているわけではなく、誰一人知らない国へ行って自分自身がどのような行動を取るのか、見てみたいだ…

粘菌コンピューター

せつなさとは何だろう? 今日、音楽家の友人と話しているときに話題に上った。 彼女はかなり高い頻度でせつなさを感じるという。 最近はせつなさより、もっと生々しい人間の感情を感じることが多くなったような気がする。きっとどっぷりと浸かっているのだろ…

93歳

週末、祖母の誕生日会が親戚一同で祝われた。 祖母は今年で93歳になる。 ちなみに彼女は6年間ほど自分はずっと84歳だと思い込み、同じマンションの人にもそう言いふらしていたので、マンション内で90歳になった人達を祝う会で自らの名前を呼ばれたときは、周…

生活の綻び

朝起きると、洗剤がなかった。 土曜の朝は、洗濯をしながら掃除をし、遅い朝食を取るのが習慣だ。 当たり前のことだが洗剤がないと、洗濯ができない。 「洗濯をしながら」というのが重要なのだ。 洗濯をしながらほかのやるべきことをやると非常に気分がいい…

スナップ写真

昔自分が撮った何気ないスナップ写真を見ていると、どうしようもなく淋しくなるときがある。そこにあった情熱が今の自分にはないからだ。 正確に言うと、そのときある種の熱を持って撮っていたのに、その熱のようなものが欠落している。写真に対してなのか、…

サイモン

今回のロンドン滞在で、10年ぶりにサイモンに会った。 彼とは僕が初めて行ったエディンバラの語学学校以来の仲になるので、正確に言うと12年ぐらいの付き合いがある。 英語が全く話せない頃からの付き合いなので、サイモンは僕に会うたびに「きみの英語は、…

マリア

年末年始はロンドンに滞在した。 短い滞在だったが、久しぶりに会う友達と旧交を温めて、やはり住みやすい国だなと思った。 僕がロンドンに住んでいたのは10年近く前で、しかも滞在期間も一年半程度だった。 それでも、その頃仲良かった友人たちはまだロンド…

必要性

旅に思いを馳せる。 ラオス・ブラジル・ペルー・イギリス・インド・・・・・今年の冬はどこに行こうか迷っている。 ひとりでどこか行ったことのない街に行くのもいいが、久しぶりに友人たちに会いにヨーロッパに行くのもいいかもしれない。 行きたい国と聞か…

勝負の年

今年もあと一ヶ月ちょっとなってしまった。去年もあっという間だったが、今年はもっと加速した気がする。相変わらず、自分の目標がまるでこなせていない気もするが、ようやく人生の方向性のようなものは見えてきた。 今年はモロッコへ行って、その写真で個展…

A BAD DAY IN INDIA

それは前夜から始まった。 デリー発バラナシ発の飛行機は朝の11時発だ。 僕たちがいたアグラからデリーは電車で2時間半かかる。 デリー市内から空港までタクシーで40分かかるが、余裕を見て8時にはデリーに着いていたい。それなら1時間かかったとしても、出…

マグナム

今日、注文していたリーズ・サルファティ(Lise Sarfati)の写真集が届いた。 彼女は、アムステルダムで開かれたドキュメンタリーカメラマンためのワークショップで、僕の教官だったので、少なからず興味を覚えていた写真家だ。 日本ではそれほど知られてい…

芸術起業論

最近、村上隆の「芸術起業論」という本を読んだ。 まわりに村上隆を好きだという人間はいないが、嫌いだといっている人間は山ほどいる。 そんなこともあり、興味があったので、六本木ヒルズに行ったついでに、彼の本を買った。 (六本木ヒルズの本屋で、村上…

眠れない夜のために

あと数日で10年ぶりにインドの地を踏むことになる。 あれはたしかに21歳の夏だ、初めてインドへ行ったのは。 あれから本当に10年経ったのだと、実感する。 まさかこんな31歳になっていようとは思ってもいなかった。 とくに後悔なんてしていないが、人生不思…

ふるさと

“ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの” 室生犀星 久しぶりに京都へ行った。 そして、生まれ育った家へ行った。 正確に言うと、生まれ育った家があった場所へと赴いた。 思い出のたくさん詰まった家は、僕がイギリスに留学しているときに …