こんな日でも、青空はとても美しく、夕日はどこまでも美しい。
6歳になる姪っ子のチイちゃんのご所望で、僕たちは「だるまさんごっこ」に興じた。
その日、妻は千葉の実家に昼過ぎには帰ってきており、それからずっと「だるまさんごっこ」をやっていたらしい。
仕事を終えて、車で妻の実家に帰って来たのは、すでに17時半過ぎだった。だが、またしても「だるまさんごっこ」をやりたくなったチイちゃんは、僕という新戦力を得て、お義母さんと次女のゆづきちゃんを加えて、4人で「だるまさんごっこ」をやった。
そして、後から妻が合流した。
結局、5人で「だるまさんごっこ」をやった。誰もが何も考えたくなかったし、どうしようもない悲しみを忘れるために、ただひたすら遊びに興じた。
チイちゃんが鬼になったので、彼女をびっくりさせるために全速力で走って、タッチしようとした。そしたら、なぜかお義母さんの笑いのツボに入ってしまい、それこそ文字通り腹を抱えて笑っていた。
日がすっかり暮れる前に家に入り、チイちゃんとゆづきちゃんのパパとママである、つよぽんとかおちゃんが帰って来たので挨拶をした。掛ける言葉は見つからなかったが、どうでもいいような世間話をするしかない。
そしたら、チイちゃんがウノをやりたいと言い出した。今度は義理の姉夫婦であるともちゃんと大ちゃん、それにお義父さんも最終的に加わり、盛大なウノが始まった。
その場にいた家族全員が参加したウノだ。
そして、その場にいた誰もが和室に横たわっている16歳のこゆきちゃんの不在を意識していた。もちろん、そのことに関して決して口を出さないようにした。
何事もなかったかのようにひたすらウノに興じた。なぜか奇跡的に6歳のチイちゃんが一番に上がった。
それに調子に乗った彼女は2回目をやりたがった。だから、ママであるかおちゃんが「皆様、大変申し訳ございませんが、もう1回チイちゃんのためにウノをやっていただけないでしょうか?」と畏って頼まれたら、もちろん僕たちはやらざるを得ない。
みんな笑顔でウノに興じた。
人はどうしようない深い悲しみにある最中では、一生懸命笑おうとするのだなと思った。他の人が笑っているのを見ると、ちょっと安心した。特にこゆきちゃんの両親であるつよぽんとかおちゃんが笑っているところを見ると、とても安心した。
その場にいた全員が6歳のチイちゃんに救われた。
彼女の存在だけが、このとてつもない悲しい時間と空間の希望だった。
10年前、こゆきちゃんがチイちゃんと同じ6歳だった時、妻と彼女と3人で実家の周りを散歩した。後にも先にも3人だけでどこか行ったのは、これが最初で最後だった。
毎年、お正月はみんなで集まって、それがずっと続くのが当たり前だと思っていた。
その中の誰かがかける日が来るなんて、想像していなかった。まさか自分よりはるかに年下のこゆきちゃんが真っ先にいなくなるなんて、誰が想像し得ただろう。
誰も彼女に何があったのか本当には理解できないし、自分たちに出来たであろう「たられば」に一生悩まされ続けるだろう。それは普段から身近な存在である家族、友人たちならなおさらだ。ご両親や、ご家族の気持ちはもはや想像できないレベルだ。
こゆきちゃん、心よりご冥福をお祈りします。
でも、天国にいったら1回ぐらいは説教させてね!こんなにも理不尽なばかりの多くの悲しみを大勢の人にさせた罰だから・・・・