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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

キューバのアートと芸術について2016

キューバに2度訪れて思ったのは、投資先としてのその魅力は「観光資源と人々の教育水準の高さ」だと思った。国外に200万人いると言われているキューバ人だが、その多くはアメリカに住んでいる。アメリカとの国交回復後、彼らが大挙して訪れれば、一気に「キューバのアメリカ化」は進むと思う。

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歴史的な背景からアメリカに対して複雑な感情を抱いている人がもっと多いと思ったが、街中で見かける「I love Miami」「I love Los Angeles」といったTシャツを着た人たちを見ると、そうでもないのかもしれないと思う。実際、キューバ人にアメリカのことを聞いても、特に悪口を言う人もいないし、親戚のうち1人くらいはアメリカに住んでいるので、アメリカの実情と自分たちの実情を比べてみて、少なからず羨望に似た気持ちを抱いているのも事実だろう。

1. キューバの音楽とアート

キューバサルサは世界的に有名ではあるが、ここキューバではレゲトンのほうが流行っており、彼らにとってサルサは「時代遅れ」という印象らしい。街中でも観光客向けの場所ではサルサがかかっていたが、それ以外の場所ではあまり聞かなかった。

またキューバ人のリズム感はほかの中南米の人たちと比べても並外れており、身体中を動かしながら音楽に合わせて踊る様はたしかにかっこいい。彼らにとって音楽は「リズムに合わせて踊るもの」であり、踊りやすい音楽であればなんでもいいのかもしれない。

そして、キューバではアートが栄えている。

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Fabrica de Arte(ファブリカ・デ・アルテ)という今、ハバナの若者たちの間で流行っているという場所に行ってみた。ギャラリー、映画館、ライブ会場、カフェなどが入っているコンプレックスで、たしかに多くのキューバ人で賑わっていた。

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ほかの国からの情報が圧倒的に不足しているなかで、キューバ人が描く絵画やデッサン、それに写真はとても独創的で見ていて飽きなかった。街中では警察、それに隣人同士の監視システムがあり、常に抑圧されているキューバ人はアート、それに音楽などで発散しているのかもしれない。

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もちろん、この厳格な監視システムのおかげで中南米のなかで、最も治安がいいといってもいいくらいな安全を保っているので、旅行者は文句は言えない。だが、そんな監視システムを引いているわりには、なぜか人々には弛緩した空気が流れている。このゆるい空気が、もしかしたら革命政府がこれほど長く続いた要因かもしれないし、さらに遡れば、カステロやチェ・ゲバラが決死の革命を遂行するまでは、独裁政権の圧政とそれがもたらす飢餓に耐えられた大きな要素なのかもしれない。

2. キューバへの観光客

キューバを訪れる観光客は年々増加し、昨年度は350万人を超え、日本人の観光客も昨年は80%近くの伸びを示し、さらに今年はその80%伸びた去年よりもさらに80%伸びて1万人以上になるということだ。

ただし、今年の1月から4月までにアメリカから9万4千人も訪れていることを考えると、日本以上にアメリカで「キューバ・ブーム」になっているのが分かる。

世界遺産に登録されたキューバ旧市街には、古いホテルをリノベーションしてハイアットが建てられる予定だが、これだけ訪れる観光客が増えているにも関わらずホテルは不足しており、その窮余の策として民泊を許可したが圧倒的なインフラ不足なので十分な施設とは言えない。(いくつかの民家に宿泊してみたが、お湯が出なかったり、窓がなかったり、また当然ネットもなく、1泊30ドルから40ドルも支払う価値はないと思った)

ロイター記者の友人がハバナに駐在しているので話を聞いたが、毎月800ドルのインターネット接続料金、車、外国人用の宿泊施設など経費が非常にかかるとは言っていた。ロイターのような大きな組織だからこそ、そこまで経費をかけて進出できるが、多くの日本企業にとってみればまだまだ「遠い未知の国」のひとつであり、進出するのに障害が多い国ではある。

3. 最後に

その友人の誘いでアメリカやカナダ、そしてドイツの大使館の人たちが集まる夕食会にも参加したが、どの人もキューバの治安の良さを讃え、そしてキューバのことを気に入っていると言っていたのが印象的だった。

自分が住んだアルゼンチンで同じようなことを現地にいる外国人に聞いたら、正反対の答えが返ってくるだろう。

ネットも満足に繋がらず、インフラも十分にないし、輸入食品も限られている。 (友人にはスイス産のチョコレートを買ってくるように頼まれたので、しこたま買ってあげた。)

それでも有り余る魅力がキューバという国にはあるのだろう。 こんな短期間の滞在ではまだまだ見えないこともたくさんあるので、今後メキシコ、アルゼンチンと同じように定期的に行って観察していきたいと思っている。