Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

個人の行方

“旅行とは目的地に着いたときに、帰りのことを考えるもの。
旅とは帰ることを考えないもの” ポール・ポウルズ「シェルタリング・スカイ

今日は夕方から、ひどい雨になった。
こんな日は外出を控えるに限る。

本屋で沢木耕太郎の「深夜特急」を特集している雑誌を見つけて、購入する。
バックパッカーならば、誰でも知っている本だ。
旅のバイブルといっても過言ではない。

個人的に彼の旅の最終地点であったロンドンに辿り着いた、その後のことが気になっていた。
購入した雑誌にはそういったことが詳しく本人自ら書き記しているので、欲求は十分に満たされた。

彼も自分の本に詳しく書いているが、旅に出るとふと「このまま帰らなければ、どうなるんだろう」と思う瞬間が多い。とくに一人旅のときは、その疑問に常に向き合う旅になりがちだ。

さすがに最近、一人旅に出てもそこまで強くそう思うこともなくなった。
20代前半頃の旅は、どこにいくにも一人だったし、どこに住んでもいいと思っていたので、よくそんなことを夢想しながら旅をしていた。

旅と旅行の定義は色々あるが、映画「シェルタリング・スカイ」の冒頭で述べられているように、旅とは本来帰ることを考えないものなのかもしれない。

インドやタイ、あるいはロンドンやパリのように土地の吸引力が強いとこに行くと、今でも時々帰るのが億劫になる。

もちろん、億劫になるだけで本当に帰ってこないわけではない。
ただ少なくても、日本に居心地の良さを感じるよりは、海外に居るときの方が居心地良いと感じている自分のほうがバランスは取れている気がする。
逆説的な言い方かもしれないが、自分の居る場所に安住するようになったら、成長もないし、つまらない毎日になってしまう。

個人の衰退が始まるのは、年齢によってではなく、成長を自ら諦めることによって始まるのかもしれない。