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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

親切なクムジャさん

オールド・ボーイ」の監督の新作を観に行った。
親切なクムジャさん」といういわくありげなタイトルの映画だ。

さすがに「オールド・ボーイ」と比べてしまうと、いまいちの出来だった。
それは当然といえば、当然だ。

北野武も名作「HANA-BI」のあとはしばらくパッとしなかった。
座頭市」で監督しての力量を見せつけるまで、しばらく時間がかかった。

HANA-BI」のような作品を撮ってしまうと、自分の創造性のピークを意識してしまう。
そのあとの映画群を見ると、北野監督のその迷走ぶりが理解できるが、プロの監督して撮った「座頭市」は他の追随を許さない出来となり、健在ぶりを見せてくれた。

カンヌでグランプリを獲った「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督もしばらくは迷走するかもしれないが、また素晴らしい作品を作り上げてくれるだろう。
欲張りな観客たちは常に最高傑作を期待してしまうが、そう何度も創造性のピークで映画を撮ることはできない。

パク監督は北野武よりは監督してもっと成熟した腕を持っているので、次の作品あたりでまたすごい作品を撮りそうな予感がする。
ただ個人的には「オールド・ボーイ」よりもすごい作品なんて想像もできないが。

北野武の荒削りの感性に世界中は熱狂したが、映画のよりテクニカルな部分を駆使して、観客である僕たちを楽しませてくれるパク監督はより深い狂騒へと導いてくれるかもしれない。それが今から楽しみだ。