Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

本当の戦争の話をしよう

僕の好きな作家でティム・オブラエンというアメリカ人の作家がいる。
彼はベトナムに従軍した経験を元にいくつか小説を書いている。というよりはベトナムの経験を元にしか小説を書いていない。それぐらい強烈な体験だったのだろう。

興味深いことに、戦争は誰の身にも起こっていると彼は言っている。しかし、それがたまたま自分にとっては本当の戦争だっただけだと。日常生活はある人にとっては戦争になりうるし、人間関係で戦争状態に陥ることは簡単だ。仕事が戦争の人も多いだろうし、戦争を放棄して、また違った形の戦争をしている人々も大勢いる。

その体験が小説の素材として、繰り返し使うことができるくらいの体験。どんなにネガティブなものであれ、人間は人生に一度はそれぐらいの経験をする。もちろん、幸せな体験にあることに越したことはないが、人生なかなかそうはうまくいかない。

今まで僕が体験した最も強烈な体験は二つある。そのうちのひとつがインドだ。幸いなことに、この体験はとても幸せなものだった。苦痛もあるにはあったが、喜びのほうが大きい。でも、不思議なことに自分がインドで体験したことを詳しく人に話した覚えがない。表面的なことは何度も話したことはあるが、本当に肝心な話は語ったことはない。べつにもったいぶっているのではないけど、何かを体験するということはそういうことなんだろう。

これからも何度かそういった経験をすると思う。
そういったときに自分に表現の手段があるのは素敵なことだ。写真でも映像でも、また文章でも何でもいい。そういったものを通して、自分の経験を何らかの形に還元していけたらなと。

インドでの体験ですら、まだまだ表現し切れていない気がする。久しぶりにHPにアップするために見たインドの写真を見てそう思う。