結局、ブラジルに行くことにした。
遠くへ行かねばと思ったから、行くことにした。
伊豆の温泉に満足するにはまだ早い。
やはり、自分自身を危険に晒して、楽しみたいという気持ちがまだある。
もちろん、むやみにやたらに危険を渇望しているわけではないが、ものは試しにブラジルに行くことにした。
年を取れば取るほど、きっと危険を危険と感じるようになる。
危険をひとつの人生の享受として感じられる今だからこそ、それを赤裸々に体験できる国へ行ってみたいと思った。
来世は温泉好きの人間になりたいとは思うが、どうやら今回はなさそうだ。
きっと最期の最期まで、どこか見知らぬ国への渇望を絶やすことはないと思う。
今回はきっとそれほど多くの写真を撮らないかもしれない。
しかし、よりよい写真を撮りたいとは思う。
そして、いつかこう思いたい。
「多くの旅を経験して初めて、自分がいるこの場所が一番だと思うように至った」と。
それまではセネガルやコロンビアあたりで、のらりくらりと旅をしているのかもしれない。
間違いを犯すのは仕方がないが、後悔するのは御免だ。
それなりの結果を今回の旅で得ることができればと思っている。
真夏の国へ。
まずは足腰を鍛えて、逃げ足だけは早く保ちたい。