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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

世界恐慌という名のテロ

ひと夏越したら、世界恐慌になっていた。

良くも悪くも世界経済はアメリカを中心に回っていたので、そのアメリカが破綻した今、この流れは止まることはないだろう。前FRB議長のアラン・グリーンスパンは「100年に一度の金融危機」と言っており、1930年代に起こった世界恐慌よりもより深刻な事態だと述べている。

アメリカの経済破綻の流れとは一線を画すが、個人的に最もショックだったのはあの富裕国アイスランドの国家破産だ。世界で最も生活満足度が高い国のひとつであるアイスランドの幸せが、そんな脆弱な経済を基盤としていたことは信じがたい事実だった。アイスランドの恐慌は、アメリカの恐慌とタイミングが重なったことにより、一気に加速化し現在のような危機的状況なったが、今後このような国がたくさん出てくるのだろう。

アメリカはアルカイダによるテロを徹底的に糾弾し、その報復として最も愚劣な行為である戦争という手段を取った。しかし、この世界恐慌アルカイダが起したテロによりも性質が悪く、また人々の生活に直接に大打撃を与えるアメリカによるテロ行為のように思える。

この世界恐慌の引き金となったのは、サブプライムローンだと言われている。それをよくよく紐解いていくと、問題となったのはサブプライムローン自体というよりはノンリコースローンという制度である。これはローンの借主がたとえ返済不能に陥っても、そのローン対象となる物件などを手放せば、借主である会社や個人に返済義務は一切ないという画期的なローンだ。

金利が上がり返済不能に陥っても家さえ手放さねば借りた金を返済する必要はないのだから、わざわざ無理をして高い金利を払ってまで、家を持ち続ける意味はない。むしろ、支払い続ける人間のほうが馬鹿に思えてくる。だからこそ、どんどん持ち家を手放す人が増え、ローンを貸し付けた銀行は、焦げ付いたローンを大量に抱え息もたえだえだ。

このようなローンを国家が認め、銀行が奨励さえしたのだ。
今あるアメリカという国家に同情することはできない。
この世界恐慌は、アメリカが起したテロだ。

テロとは何かという定義は非常に難しい。
だがそれを定義する大前提が「組織的な暴力行為」とするならば、この世界恐慌は自己責任のないローンで分不相応な家を薦められるままに購入したアメリカという国に住む人々が起した、世界を標的にした自爆テロに違いない。