Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

若くて優秀な人材求む!

タイトルにあるような求人広告をよく見かけるが、これはあらゆる意味において間違っている。ひとつは「若ければ若いほどどうしようもなく愚かで、自分のことしか考えておらず、頭でっかちの分からず屋」という事実だ。

二つ目に、本当に若くて優秀な人間はそのような求人広告に目を向けず、もっと的確な表現を用いている求人広告に心惹かれる。さらに付け加えるならば、後天的に「優秀な人間になる人たち」は当然のようにもう若くはない。

若い人間を募集するのは、単純に人件費が安いからに他ならない。このような広告のいわんとすることは次のことである。

「安く働いてくれる人募集!出来れば若ければ若いほどいい。それなりに年を取っているにも関わらず使えないと目も当てられないが、若ければなんとかなるかもしれない」

なぜこのようなことを思ったのかいうと、ワンズワードオンラインで雇用している先生たちの平均年齢がほかのスクールよりも著しく高いからだ。そもそもうちの場合、「卵か先か鶏が先か」という理論で言うと、もう圧倒的に鶏だ。鶏というよりはむしろ闘鶏並である。(そして、すでに何羽か飼ってもいる・・・・あえて名前は出さないが)

若くて優秀な人間がいれば、もちろん雇用する。だが、めったにいないことは事実だ。若いとたいていの場合めんどうな奴が多い。それに誘惑が多い年頃の人たちが、腰を据えて頭にヘッドフォンマイクなんぞを付けて、おとなしく家で外国人相手に英語を教えるということは、ほとんど奇跡に近い。

自分が20代の頃を思い出しても、それはよく分かる。週末は友人たちと飲み歩き、平日の夜は友人たちとチャットや携帯電話で無駄話に興じるというのが彼らの本来の姿だ。そんな彼らにプロフェッショナリズムを求めるのはお門違いである。

普通の会社でも「おい、今度の新入社員すごいぞ!うちの部長よりも仕事出来ちゃうんだよ!」なんてことは聞いたことがないはずだ。

だいたいにおいて年を取ると、ろくなことがない。体力は衰え、目は霞み、新陳代謝が悪くなるので豊かな脂肪が付き、頭もボケ始める。肉体的には本当に何一ついいことがない。だからこそ、ひとつやふたついいことがあってもいいのではと思う。それが年を取るにつれて、賢くはなるということだ。もちろん例外はあるが、多くの場合これは当てはまる真実だと思う。せめて、それくらいいいことがないと年など取りたくはない。

自分自身、10年前に今と同じようなことが出来ていたかというと、全く無理だったと思う。今と同じ立場だったら先生たちに向かって平気な顔して「馬車馬のように働け」と言っていたかもしれない・・・・・まあそれはないとは思うが、口が裂けても「最高の労働環境を提供する」なんて殊勝なことは言ってはいないはずだ。

10年というスパンで考えると、人がいかに変わるかということに本当に驚かされる。だから、20代の人たちを相対するときは10年後の彼らの姿を思い浮かべながら接すると、少しは彼らのことを許容出来るようになるかもしれない。今度、20代の人を面接するときは「うぜえ」などと思わず、少しは優しい気持ちで面接しようと思っている。そう、こうして人は少しだけ賢くなっていくのだろう。