Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

集団としての質をいかに向上するか

昨日は法政大学のI先生と中学校の英語の先生にお会いして、色々と話しをさせていただいた。そのなかで話題として面白かったのは「ワンズワードオンラインは学習意欲が高い人たちをターゲットとして絞り、一定の成果は出しているが、次のステップとしてそれほどモチベーションが高くない人たちを対象にいかに彼らのモチベーションを上げて、成果を出すかやってみてはどうか」ということだ。

まずオンライン英会話スクールとして取り組むことは不可能と断りを入れた上で、やるならば学校という強制的に学習させられる場が前提になると話した。(元々学習意欲が低い人達がオンライン英会話なんてするわけがないので)

その場では「現時点では興味がない」とお答えしたが、一つの思考実験としては面白いのでこの場でシュミレーションしてみたいと思う。

まず、とある高校がワンズワードに「うちの生徒の英語力をあげてくれ」と依頼したと仮定してみる。それも全生徒の英語力を上げて欲しいと依頼されたとする。

全生徒が対象となった場合、まずはどのようなクラス編成にするかが問題になる。
当然、学力選抜クラスが前提になってくるが、この場合気をつけなくてはいけないのは、人数編成だ。たいていのテストの結果は下記図のように正規分布の形を取る。そうなるとクラスの人数もそれに沿った形にするのが筋が通っている。

Tips_2_19

(引用元:http://software.ssri.co.jp/statweb2/tips/tips_2.html

英語上級者になればなるほど、各自の学習スタイルの違いは顕著になるので、そのスタイルに合った教え方をしたほうが学習の精度は高まる。また成績下位者は「ただ目をかけてもらっている」と実感させることにより、成績は飛躍的にアップする可能性もある。そして、なかには当然人より恐ろしく習得に時間がかかる層もいるので、それだけ根気づよく教えられるようにクラス人数は最小限に抑える必要がある。

1学年の生徒数が100名だと仮定すると、一番人数が多いクラスでも20名までに抑え、一番人数が少ないクラスは5名程度にするのが望ましいだろう。そうなると、一番上位のクラスと下位のクラスは5名づつなので、これで合計10名になる。そして、各層の次の層(上から二番目と下から二番目)は10名づつのクラスとする。ここまで振り分けられた人数は、合計30名になる。手間暇かけて教える必要がある層は、ここまでの層だと思う。大多数の層が所属する中間層は、いかに生徒側の自主性を促進して、彼らにやる気を起こさせるかが重要になってくる。よって残りの70名は単純に4つに分けて、17、18名のクラスを4つ作ればいい。

では、この中間層にいかにやる気を起こさせるかだが、この4つのクラスの平均点を最初の段階で全く同じようになるように生徒を振り分けておく。しかも、成績上位者と下位者を混ざるように意図的に振り分けておく。

そして、この4つのクラスの平均点を毎月競わせるようにする。その平均点がトップだったクラスの上位5名は次のレベルである10名クラスに進級できるようにする。成績下位者の降格に関しては、クラスの平均点は関係なく個人成績のみが対象となるとする。この中間層でも「出来る子」はほかの生徒の学習も手伝うことによって自分たちが昇格できるので、そのように努力するだろう。そうしてクラスとしての連帯感を持つことが出来る。

学習意欲もそれなり、それに比例して成績もそれなりの層にいかにプレッシャーをかけ、彼らを次のレベルの優秀な学習者に仕立て上げるかに、このプロジェクトの成否がかかっている。

一番上のクラスをAクラスとし、次のクラスがBクラス、中間層のクラスは華組、さくら組星組、梅組と名づけ、次のレベルはDクラス、最下層はEクラスとする。こうしておくと、中間層が昇格したときは「特権意識」が味わえ、逆に降格したときは強烈な「羞恥心」が味わい、努力を促すことができる。

おそらくトップ5名と、一番下のクラスの5名はずっと同じクラスに留まる可能性が高い。ただ彼らが存在することで、多くの生徒が所属している中間層の学習意欲を高めることが出来る。次の層である10名クラスと中間層のクラスの入れ替えは激しくなるだろう。むしろ、入れ替えが激しくないと、このプロジェクトはうまくいっていないことを意味する。

あとはテストの質、それに学外の学習のためにオンライン英会話スクールの活用など色々と考えられる。だが、何よりも重要になってくるのは、集団としての質をいかに高めるかだ。マンツーマンレッスンを基本としたオンライン英会話スクールの経営とそこが決定的に違う。

マンツーマンレッスンだとそのレッスンの質を高めることが学習者のモチベーションアップと、学力向上につながりやすいが、学校のような大人数だとレッスンの質さえ高めればいいと言うわけにはいかない。それ以前にこちらが意図する集団となるような取り組みやちょっとした仕掛けが必要だ。おそらく多くの学校の経営者にはそのような視点が決定的に欠けている。

こうして色々と考えてみると、モチベーションがそれほど高くはない人たちを対象としていかに彼らのやる気を促進するかという取り組みは面白いかもしれない。ただきっとこちらの10の努力に対して、彼らの成果は2にも満たないだろうとは予想できる。モチベーションがそもそも高くはない集団を対象した場合の成果はその程度が妥当だろう。そんななか多くの学校は学校側の協力はたいして得られない中、現場の先生たちの個人的努力で授業を行っているのだろうから本当に大変だと思う。

今度先生たちに会うときはこのアイディアについて色々と聞いてみることにしよう。