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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

独断と偏見によるアジア諸国への評価:日本の生き残りの道

今年の夏は、インドネシアシンガポール、マレーシア、フィリピンとアジア諸国を回ってきた。21世紀は「アジアの時代」と言われているので、これからは急激にアジア諸国が力をつけていくだろう。その意味ではシンガポールにはとても注目していた。

実際に行ってみた感想は「すでに出来上がった国」というものだ。これ以上発展する可能性をそれほど感じない。特に文化的な面で、それほど独自性を打ち出せておらず、国自体も文化の育成をそれほど大切に思っていないようだ。

シンガポールではアーネストというシンガポール人の友人と行動を共にしたのだが、彼は写真家だけにそのことにとても不満を感じているようだった。

経済政策に関しては、徹底した「金持ち優遇政策」でアジア諸国から多くの富裕層シンガポールへと移住している。それが、逆に文化的な停滞を生んでいるのかもしれない。あまりにお金儲け重視だと、ペンや筆を取って芸術にうつつを抜かよりは株投資でもしたほうが効率のいい生き方だと人々は思ってしまう。

金持ちが芸術家のパトロンになるような古きよき時代は終り、金持ちはひたすら金儲けに邁進するようになっているのだろう。(ヨーロッパでは国がある程度芸術を保護しているので、まだロマンを抱えて生きていけるが、アジアだとそうはいかない)

逆にマレーシアなどは、まだまだ未開発でこれからどのような発展を遂げるのか期待が出来る。今まで行ったその他のアジア諸国(中国、香港、マカオ、タイ、インド、スリランカカンボジアベトナム、韓国)なども含めて考えると、一番面白いのは香港かもしれない。もう国ではなく中国の一地区なのだが、それでも未だに独自性を保っているのは驚異的と言える。

ただそれでもやはり中国に違いはないので、ちょっとしたことで財産没収・土地没収の憂き目に遭うかもしれない。多くの香港の金持ちは財産のほとんどを国外に送金し、そのようなことにならないように気を配っている。乱暴な話だが、香港があのままイギリスの領土であったならば、21世紀のアジアの中心になっていたかもしれない。

そのようなことを翻って考えてみると、日本もまだまだ捨てたものではないと思う。徹底したディテールへのこだわりは他の国の追随を許さない。日本式のサービスを諸外国に広めていくなど、まだまだ生き残っていく道はある。21世紀は個人の時代になることは間違いないので、日本式の集団主義から脱却し、世界のスピードに乗り遅れないよう個人の意見を積極的に採用する風通しのいい社会に変えていくことが、生き残っていく際の必須条件だ。

2010年9月10日

何も言わなくてもエンドレスに緑茶とお水が出てくる、古きよき日本式サービスを提供する喫茶室ルノアールにて