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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

The Corporation: 企業を人間に例えると・・・・

サイコパスとのことです、この映画「The Corporation」によるとですが。

ノーム・チョムスキーピーター・ドラッカー、それにフリードマンなど錚々たるメンバーのインタビューを通じて、企業の本質に迫るドキュメンタリー映画で、とても見ごたえがあった。

現在の資本主義下による企業の目的は「利益の追求」であり、そのためには手段をいとわない。法律も犯すし、従業員は使い捨てにするし、彼らに不当な賃金しか払わず、顧客よりも株主の利益を最優先させる。

この映画で取り上げられる企業で、そのような意味で最も特徴的な企業は米国モンサント社だ。

酪農と牛の成長ホルモン

そもそもアメリカではミルクは余っており、モンサント社のホルモン増強剤を使ってミルクを増産する必要性すらなかった。しかし、彼らの巧みな広告戦略に騙された酪農家たちはこぞって、それを使って結果牛を「ミルク製造機」に変えた。そして、そのように産み出されたミルクは牛にも人体にも悪影響を及ぼすとんでもない代物だ。

そもそも、ベトナム戦争時に悪名高き枯葉剤を開発し販売していた会社だけに、人への影響など考慮に入れていない。

モンサント社なしで世界を養う方法は?

上記の記事を読めば分かるが、そのような企業が人々の口に毎日上る食品の多くを支配下に置いているという事実がある。2006年のノーベル平和賞受賞者であるムハマド・ユヌス氏が講演で言っていたが、世界を変えることが出来るのは、「彼ら」ではなく我々だ。我々がその製品がどのような過程を経て作られたか自覚し行動すれば、モンサント社のような企業をここまで巨大企業に育てることもなかった。

世界は他人事ではなく、自分ごとだ。

ひとつひとつの選択が、今後連なっていく子孫の世代へと受け継がれていく。願わくば、彼らの世代が我々の世代よりも豊かで幸福であって欲しい。しかし、世界は着実にそれとは逆方向へと向かっていっている。

この映画でも最後に語られるのは、「行動する」ということについてだ。消費者が賢く情報共有を行い、自覚を持って消費活動を行わないと、世界はどんどんと悪い方向へと向かっていってしまう。

安いことにはそれなりの理由があるのだ。そして、それは多くの場合労働者の犠牲によって成り立っている。そのことを自覚し、「なぜ?」という疑問を常に持ち合わせていることがとても重要なことだとこの映画を通じて改めて思い知らされた。