メルボルンの街をぶらぶらと散歩していたら、教会を見つけたので中に入ってみた。
ヨーロッパの教会では特にそうだが、教会に入るたびに宗教的な気持ちが湧いてくる。今、現存している教会のほとんどは建てられた当時の贅を尽くした作りになっているので、観るものを宗教的な気持ちにするためのあらゆる仕組みを整えていると過言ではない。
遠い昔、一人でパリのとある教会に入ったときに老婆が跪いてキリストに祈りを捧げているのを見たとき、自分も思わず跪いて祈りを捧げてしまった。特にクリスチャンというわけでもないのだが、教会には人に祈りを捧げさせる何かが宿っている。
ドイツの詩人ゲーテは「人間は宗教的である間だけ、文学と芸術において生産的である」と語ったが、このような古い教会に入ると、ゲーテがそのようなことを語った背景もなんとなく分からなくもない。