Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

そうして生き続けるということ:ブエノスアイレスへ。

きっかけは去年行ったインドネシアロンボク島だった。

何もない辺鄙な島だった。そこでスカイプを使って仕事の連絡を終えたとき、ふと気づいた。「この島で仕事出来るのならば、世界中のどこに行っても同じように仕事が出来るのでは」と。

それから、シンガポール、マレーシア、フィリピン、台湾、そしてオーストラリアを旅して、何のストレスもなく、日本にいるときと同じ生活のリズムで仕事をした。

先月行ったオーストラリアは、具体的に住む場所を探すつもりで行ったのだが、あまりの物価の高さと、賃貸物件を見つける難易度の高さに住むのを断念した。

シドニーの1DKや2DKの賃貸物件には、1つの物件に20人くらいが殺到して、オーナーが気に入った借主を選ぶという)

そして、ふとブエノスアイレスに住もうかと思った。「南米のパリ」と呼ばれている、その街に以前から興味があった。また英語以外の言語習得にも興味があったので、スペイン語の勉強に打ち込むのも悪くないアイディアだと思った。なんなら、ワンズワードオンライン・スパニッシュでも立ち上げようかとさえ思っている。

ワンズワードの成長は、自分自身の成長がないとあり得ない話しだし、そろそろ変化が必要だと感じていた。イギリスから帰国してすでに10年以上が経ち、東京という街にも飽きてきたのも影響している。ブエノスアイレスに永住するつもりはないが、しばらく違う空気にあたって、全く別の生活様式のなかで自分を順応させる努力をしてみようと思う。

チケットを予約し、不動産屋には3月末に退去することを伝え、すべての準備を整えたあとに震災が起きた。ブエノスアイレスに行く決心は揺らいだが、「東京に居続ける自分」と「ブエノスアイレスにいる自分」の社会への貢献度にたいして変わりがないという現実を見つめた。結局は、震災で困っている人たちに取ってみれば、自分はすこぶる役に立たない存在なのだ。

昔からずっと旅をし続けることが夢だった。今こそそれを叶えるときだ。

まずは1年、自分に時間を与えてみようと思う。今持っている「日本の役に立ちたい気持ち」をずっと持ち続ければ、1年後にはもっと貢献できる方法を見つけることができるかもしれない。

少しづつ、自己実現を果たしていけば、いずれは花が咲くかもしれない。今のままではそれが実現することはないと自覚している。

1年後、東京にいるのか、うらびれたメキシコの海沿いの街に腰を落ち着けているのか想像できないが、1年前にはブエノスアイレスに行くなんてことは想像すらしていなかったわけだから、これからどうなるか楽しみだ。

人には留まり続けて何かを得る時期と、動かないと何も得られない時期がある。イギリスから東京に戻って住むことは甚だ不本意なことだったが、今ではその決断は間違っていなかったと思う。途中で投げ出して、またイギリスに帰ることも出来たが、思い留まった。そうして、世界を旅する環境を手に入れたのだから、結果としては悪くない。

想像可能な未来よりも、想像不可能な未来を手に入れたい。そういう生き方でしか、生きている実感は得ることが出来ないから。