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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

カランメソッドを斬ってみる:絶対的な真理は存在しないということ

先日、面接した先生が「私、じつは日本のオンライン英会話スクールでも少しだけ働いたことがあって、その学校がカランメソッドを採用していて、ものすごく仕事がつまらないと感じた」と言っていた。

カランメソッドとは上記のビデオを見ていただければ分かるように、先生が言ったことをひたすら繰り返すという・・・・・ある意味、言語学的修行だ。

このようなレッスンを教えて楽しいと思う先生は皆無だと思う。だが、日本のオンライン英会話スクールでは非常に流行っているようなので、なぜかということを検証してみた。

What do you think about the Callan Method?

海外の掲示板で恐縮だが、ネイティブスピーカーの先生たちが「カランメソッドってどうよ?」と感じで話し合っているので、非常に興味深かった。

まず良い点として挙げているのは下記だ。

1. 初心者(Elementary Level)の生徒にとってはとても効果的。 2. 先生たちにとってみれば、レッスンの準備をする必要がないので、教えるのはある意味簡単。 3. 普通に英語を習うよりは、かなり早く(4倍のスピードとカランは謳っている)で英語をマスターできる。<初心者に限ってのことですが>

そして、不満の声は圧倒的多数であるが、その代表的なのが下記の点だ。

1. レッスンは教える側にとっても、教わる側にとっても圧倒的につまらない。 2. 30,40年前のテキストを今でも使っているのが、まず信じられない。ボキャブラリーはとっくに古いものになっており、今ではテキストとしてほとんど使い物にならない。 3. 各国の人々(特にこの掲示板ではポーランド人やロシア人に英語を教えている人が多い)に、たった1つのメソッドを当てはめるには、無理がある。 それぞれの国に、それぞれの特徴があり、また彼らに英語を教える上で各国特有の問題がある。それを無視してたったひと通りのテキストを絶対的なものとして扱っていることに教える側としてものすごく違和感を感じる。

英語教育に携わるものとして一つ言えることは、英語を習得するにあたり絶対的に正しく万人に通用するメソッドなどこの世に存在しないということだ。100人の英語学習者がいれば、100通りのメソッドが存在すべきだと思う。

それを十把一絡にして、「なんちゃらメソッド」として売り出すこと自体、違和感を感じる。今回取り上げた掲示板でも書いていた人がいたが、完全にビジネス的なメリットを優先させている。(スクール側にとっては、先生となる人はネイティブスピーカーであれば誰でもいいい。カランメソッドのテキストに従えば、誰でも教えることが出来るので、薄給で彼らを雇うことが出来る)

受験英語には必勝法はあるが、実践英語にはそんなものは存在しない。ただひたすら、毎日日々鍛錬することによってでしか、英語をマスターすることは出来やしない。

逆説的に言うと、カランメソッドでもなんちゃらメソッドでも、なんでもいいから自分自身が「これだ!」と思えるメソッドで、心底打ち込むのが英語習得の早道なのかもしれない。

そして、その上で最も重要なのは「自分自身が間違っている可能性」を考慮して、いつでも修正可能な身軽さを確保することだ。そのような意味では安価なオンライン英会話スクールというのは、とてもいい初めの一歩だと思っている。