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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

人生は見方によって決まる:ブエノスアイレスの日本民家にて

「遠くにいる人は愛することは出来るが、隣人を愛することは出来ない」 ドストエフスキー

ブエノスアイレス郊外に日本の古い民家をそのまま船で運び、そこを美術館にしたところがあると聞き、見に行ってきた。その名もMINKAという。

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60歳ぐらいのアルゼンチン夫婦が福井県にあった合掌造りの家を買取り、それを解体して遠路はるばるアルゼンチンまで運んで来たという。ヘタすれば、それだけで1億円程度のプロジェクトではないかと思ってしまうが、この国の金持ちにはホントとんでもない金持ちがいるものだと思う。

ご主人が懇切丁寧に日本の建築、芸術について説明してくれ、まさかブエノスアイレスくんだりまで来てアルゼンチン人から「日本の建築はすべて(ケン)によって計られており、非常に合理的に作られている」と説明されるとは思わなかった。

家屋のなかには、日本の現代美術品が飾られており、10%は彼らのコレクションらしいが、残りの90%は彼ら自身がキューレーターとして収集して、定期的に入れ替えを行なっているという。年に一回、2月から3月にかけて日本に滞在して、美術品を集めたりしているとのことだ。

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ご主人が南米の銀行の東京支店に勤めていた関係で、30数年日本に住んでいたという。もうすっかり日本文化にハマり込んでいて、日本の建築や芸術に関して一般の日本人よりもはるかに詳しい見識を披露してくれて、まさに目からウロコだった。

日本には西洋文化からはかけ離れた生活様式と文化があるので、おそらくそのギャップにやられてしまったのだろう。ご主人が「神道は西洋の観点から見ると、宗教ではない」と言っていて、たしかに宗教とは言えないよなと納得した。宗教というよりは、生活習慣と言ったほうがしっくりくる。

親兄弟を見ていれば分かるように人間は近しい存在に対しては激しい感情を抱くが、遠く離れたものに関しては畏敬の念を抱く。一部の中国人や韓国人の日本に対する激しい感情を見ていて、本当にそう思う。

でも、本当に大事なのは自分の国に住んだ外国人や、旅行に来た外国人に自国の文化を理解してもらい、その人たちが祖国に帰った時にその良さ、素晴らしさを広めてくれることではないだろうか。

ご夫婦が30数年通じて日本で知り合った人たちは、彼らに素晴らしい思い出と印象を植え付け、地球の裏側に日本の民家を丸ごと運んでしまうほどの熱情を彼らに植え付けた。学校では人に親切にすることは教わるけど、これからグローバリゼーションが進む世界では、「人には親切に、外国人にはもっと親切に」と教育したほうがいいかもしれない。

自分のアルゼンチン人に対するイメージは総じてポジティブなものだし、この国と文化をとても気に入っている。人はフラットな視点を持つことが大事と説くが、最終的にはどんな困難なことやネガティブなことが起きても、それをいかにプラスに持っていくかにかかっている。

人生は所詮、主観的なものだ。どのように物事を見るかによって、すべては決まる。これからこの国は経済危機や暴動やスト、その他色々と起きる可能性が高いが、それらすらもポジティブに変えられるように強くいたい。

自分が変えることが出来ないどうしもない現実に対して文句を言う暇があれば、自分が出来ることから一歩つづ変えることを始めたい。

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