外国人はよく挨拶をする。
バカみたいに聞こえるが、とりあえず何でも挨拶から始まる。
時々、「How are you?/ Cómo estás?」を日本語でなんて言うか訊かれるが、正直困る。せいぜい「元気?」としか訳しようがないが、その後に続く、「I'm O.K./Todo bien!」に当たる日本語の適当な訳は難しい。
「元気、元気」とでも訳せばいいのだろうが、外国人はたぶん納得しない。それに誰にでも使えるような言い回しではない。英語やスペイン語の場合は上記のような挨拶は全方位で使える。たとえ大統領に言ってもそれほど失礼にあたりはしない。だが、日本の首相に、「元気?」ってかますのはどうかと思う。
そして、もっと深刻な問題に週末問題がある。
いわゆる、「How was your weekend?(週末どうだった?)」と訊く、あれだ。
キリスト教の国の人たちにとって週末とは一週間のハイライトというべき日であり、それはもうあんなことやこんなことをしでかす日である。
ロンドンに住んでいた頃は、金曜の夜ともなると、街全体が異様な雰囲気となって、おちおち落ち着いて眠れないほどだった。ここブエノスアイレスでもそれは同じだ。
だが、別に週末どんなどんちゃん騒ぎをやらかしたのか、彼らは知りたいわけではない。これもほぼハワユーと同じ程度、特に深い意味はない挨拶なのだ。
「週末どうだった?」「一週間、どうだった?」という質問は英語では当たり前の挨拶だが、日本語に直すと結構重い。なんだか人のプライベートを根掘り葉掘り訊かれている気がするのも事実だ。
特に英語の先生たちは、過去形を練習させたい時などは、このような質問を多発することもある。(実際、スペイン語をメルセデス先生に習っている時には、それを連発されました・・・・週5回、同じ質問は辛かったですけど)
外国人と相対して、特にこのような質問に答えたくないときは、「Great! How was yours?」とでも言えば、向こうもそれほど深く詮索せずに次の話題へと移る。そもそも、本当に「週末何していたか?」とか「一週間何していたか?」なんてことに彼らも興味はないからだ。
ただの挨拶なのだ。
あまり深く考えずに、適当に答えるか、英語の練習と割り切ってきちんと答えるかはその人次第だが、深刻に「この人、私のプライベートをそこまでして知りたいのかしら」と思い悩むことはない。
このように考えると、日本語のコミュケーションというのは本当に難しい。
英語やスペイン語のように決まりきった挨拶すら、自分の相手のポジションや年齢などを考慮して、変えていかないと失礼に当たるからだ。
これから「日本語がうまい外人のふり」をして生きていこうかと真剣に考えている今日この頃だ。