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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

18歳の夏と38歳の夏の思い出:京都とブエノスアイレス

高校3年生の夏・・・・・普通は受験戦争の真っ最中だと思うが、そんなことにこれっぽっちも関心も湧かなかった自分は、ニーチェやらドストエフスキーやらやたらと難解の本を読みながら、「人生とはなんぞや?」となにかと物思いに耽っていた。

そんなある日のこと、たまたま実家のある京都に帰省したとき、河原町にあるとある本屋でフランセス・A.イエイツの「記憶術」という本を見つけた。

6300円という、高校生からしてみれば、「おまえ、喧嘩売ってんのか?」という値段もさることながら、そのタイトルである「記憶術」という言葉に惹かれて購入して読んでみた。文芸書のようであり哲学書のようでもあり、なんともカテゴライズが難しい本ではあったが、紙のない時代にギリシャ時代の偉人たちがいかに物事を記憶にとどめていたかということを追求しており、値段だけの価値はあるなと思った本だ。

そんなことをふと思い出しながら、英国紙ガーディアンの下記記事を読んだ。

How I learned a language in 22 hours

He's never been good with languages, so can Joshua Foer really hope to learn Lingala in a day?

この記事で紹介されているボキャブラリーを増やすためのアプリケーションである「Memrise」の仕組みがまさに、「記憶術」で書かれているとおりの仕組みを利用しており、なるほどなと思った次第だ。

To remember that bondoki means gun, I saw James Bond pointing a gun at Dr No, and saying, "Okey-dokey." If this all sounds a little silly, it is. But that's also the point. Studies have confirmed what Cicero and the other ancient writers on memory knew well: the stranger the imagery, the more markedly memorable.

ようは、単語と印象深いイメージを結び付けて、それらを紐付けして覚えるというやり方だ。ギリシャ時代の偉人たちは、さらにイメージの部屋をいくつか用意し、それらを互いに関連付けて、複雑な記憶を手繰り寄せていた。

ちなみにこのあいだスペイン語が全く話せないイギリス人とテニスをして、テニスのスコアを言うのに、30−40(サーティー・フォーティー)などは問題なかったけど、30−30(サーティー・オール)という言葉が中々出てこなかった。30分くらいずっと考え続けて、ようやく手繰り寄せたときは、我ながら感心したものだ。

記憶がしまってあった場所がおそらく同一だったために、前の記憶がすっかり消去されて、スペイン語でしか思い出せなくなってしまったのだろう・・・・

記憶というのは、本当に奥が深い。