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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

アゴラに書いた本音:よりよい民主政治のために出来ること

自民党が勝ったことを喜んでいるのは、自民党の人たちだけで、それがまた日本の閉塞感を表している。だけど、日本の税金の徴収制度はものすごくよく出来ていると思う。特にアルゼンチンのひどい状況を見ていると、なおさらそう思う。

でも、あらゆるシステムは古くなるように、今の日本のシステムは今後は通用しないだろう。抜本的な改革が必要だが、自民党にはそんな力もビジョンもない。そうして、日本に希望を抱かなくなった人たちがどんどん国外に出る。

それはむしろ長い目で見れば、日本のためになると思う。「国を選ぶ権利を持つ」というのはグローバル時代にふさわしい権利だ。日本の政治家に革命を起こせる力はないかもしれないが、日本ではいつも変化は外からやってくる。

日本を一度出た人たちが出て、新しい空気を日本に持込み、日本に革命を起こすかもしれない・・・・・まあ、夢見物語かもしれないが、そう思っていたほうが人生楽しいし、日本を諦めるのはすごく簡単だけど、僕はやはり日本が好きだ。

今後はますます政治は混乱し、経済は低迷するだろう。そんなことは分かりきったことだ。でも、それでも僕はまだ日本という国を信じているし、日本人が持つクオリティは世界に通用すると思っている。

そんな僅かな希望を胸にアゴラに文章を書いた。ただの理想論だけど、そんなことは百も承知だ。自民党民主党も同じ穴のムジナだ。何も変わりはしない。でも、きっと今後、先を見据える個人はどんどん出てくるだろう。彼らを惹きつける何かを日本という国が持っている限り、まだこの国は生き長らえる。

国を思うのであれば、国を捨てて、外に出ればいい。そこで生き長らえることによって、強さが身に付くだろう。それをいずれ、自分の国に還元出来ればいい。

僕は日本という国には一ミクロンも期待していないが、日本人という個人にはとても期待している。そんな彼らをこれからも応援したいと思うし、そのためのプラットフォームを作っていければと願っている。

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日本では選挙が終わり、大方の予想通り自民党が大勝した。べつにこれは自民党の政策に大賛成した結果ではなく、民主党への失望だというのが大方の見方だ。

民主政治はなぜ衆愚政治になるのか

日本では投票率の低さが話題になり、あたかも投票率が上がれば政治の質が向上すると思われているが、けっしてそうではないとアルゼンチンに住み始めて、そう思うようになった。

アルゼンチンの場合は選挙は義務なので、投票率は90%を超え、また国の平均年齢は30.3歳と比較的若い。それに比べて日本は高齢社会であり平均年齢は43.8歳だ。(詳しくはこちらを参照)

若者がもっと選挙で投票し、彼らの意見を反映させても、アルゼンチンのように人的要因、政治的要因で国の成長は阻害される。(この国の顛末についてはこちらのエントリーを)

衆愚政とは、有権者アテネの場合はアテネ市民権所有者)の一人一人が以前より愚かになったゆえに生じた現象ではなく、かえって有権者の一人一人が以前よりは高く声を上げ始めた結果ではなかったか。

はじめに紹介した池田先生のエントリーにあるように、この指摘はあながち的外れではないと思う。このあいだ、ブエノスアイレスのタクシーの運転手と政治について話したが、彼は「おれは今の政府は大嫌いだ。なぜかって?税金を払わないといけないからだ!」と憤っていた。

ここアルゼンチンは医療と教育は無料であり、また交通機関、ガス、電気、水なども国からの補助金がある。だから地下鉄に乗っても、30円ぐらいだし、バスは15円ぐらいしかしない。直接見える形で国の税金が使われている。

それでも、税金を払わない人が多いのが事実だ。以前、仲良くなったスウェーデン人の友人がよく「全くあり得ない。この国の人たちは税金も払わないのに、社会保障だけは先進国並だ」とぼやいていた。社会福祉大国であり、世界でも最も税金が高い北欧の国から来た人にとってみれば不思議で仕方がなかったのだろう。(天然資源が豊富で農業大国なので、ある程度の財源は確保しているが、それでも足りずに最近金持ちに対しての課金を強め、国民の反発を招いている)

政治を変えるには声をあげることよりは、歴史を調べ、「なぜ?」という疑問を常に持ち、今起きていることに動物的に反応するのではなく、その理由までをきちんと考える思考回路を持たないといけない。

少なくても日本では「全く嫌になる。税金、払わないといけないんだよ!」と外国人に憤る人はそれほどいないと思う。その代わりに「税金が高い!」とぼやく人はあとは立たないだろうが・・・・・

その大切な税金を有意義に使ってもらうためにも、真っ先に動物のように大声をあげるのではなく、きちんと自分たちで情報を整理し、時間をかけて自分たちで調べて、そうして最終的に判断をしていく必要がある。