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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

クラッシェンと考える「質の高いレッスン」とは

質の高いレッスンを提供するとよく語学学校とかオンライン英会話スクールが謳っているが、それは一体どういうことなのだろうか?(まあ、ちなみにうちも謳っております、はい)

一番、分かりやすいのはかの高名な言語学者であるクラッシェンが唱えた「I(アイ)+1」だろう。彼による解説は下記のとおりだ。

Stephen Krashen's Theory of Second Language Acquisition

According to this hypothesis, the learner improves and progresses along the 'natural order' when he/she receives second language 'input' that is one step beyond his/her current stage of linguistic competence. For example, if a learner is at a stage 'i', then acquisition takes place when he/she is exposed to 'Comprehensible Input' that belongs to level 'i + 1'.

分かりやすくざっくり要約すると、自分の第二言語のレベルが「i」だとすると、それよりもちょっと上のレベル「i + 1」をインプットすることによって、語学力が向上させることが出来るという仮説だ。

上記ビデオの例が分かりやすいですが、ドイツ語初心者に小難しいドイツ語でずっと話しかけても語学力は向上しないが、手取り足取り分かりやすく説明してあげると、ドイツ語を初めて聞く人でもいくつかの単語は分かるようになるというものだ。

ただ、ここで問題になるのは中級以上の学習者に適度な負荷がかかる教材をいかに用意するかだ。初心者は簡単だ。ごく基礎的な教材、ようは絶対にやらなくてはいけない教材を用意すればいい。

だが、ある一定以上のレベルになると個人の嗜好、それに興味の範囲によって、この「+1(プラス・ワン)」を選定することが非常に難しくなってくる。

そして、このあたりが「成功する英語学習者(あるいは語学学習者)」と「失敗する英語学習者」の分岐点になると思う。TOEICで言うと大体800点以上、CEFRで言うとB2以上になるには、ここでいかに負荷をかけ続けるかが成功の鍵を握る。

そうして、外国人とコミュニケーションが成立するコミュニケーション能力を養うには、どうしてもこのレベルまでは到達することが必要になってくる。学校の英語教育の問題点の多くは、もしかしたら学習の習熟度によってクラス分けすれば、解決出来るかもしれない。

クラッシェンも「The Acquisition-Learning(習得と学習の仮説)」で、習得こそが語学力向上の鍵だと言い切り、学習はあくまでそれを補足するものと説いている。

「習得」とは彼いわく、「子供が第一言語を学ぶようにコミュニケーションを通じて言語を獲得していくシステム」を指し、「学習」とは文法などの決まり事を意識的に学ぶことを指す。

要するに、一番重要なのは先生が創意工夫をしてなるべく実際に使うようなシチュエーションを用意して、生徒にレッスン中に「気付き(あるいは悟り)」をいかにもたらし、その場で「ああ、そういうことか!」という瞬間をもたらすコミュニケーションベースのレッスンが語学力の向上には一番有効だということだ。

自分自身も何度も経験があるか、そういうやり方で覚えた単語やセンテンスは忘れないし、そのシチュエーションに合った使い方も自然と出来るようになる。

このようなレッスンが少なくても、ワンズワードが考える「質の高いレッスン」だ。

これまでもこれからも、このような方針のもとに先生たちにそれこそ「質の高いレッスン」を生徒様に提供してもらいたい。(陰では何人かの先生が「スパルタ」と言われていますが、生徒様のことを思ってこそだと思います。あくまで「+1」の負荷を50分のあいだかけることが重要なので・・・・ドラゴンボール亀仙人の修行を思い出してください・・・古いか)