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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

死者を思い、未来を思う:オアハカにて

この日はオアハカ最大のイベントである「アビマエル家への訪問」の日だ。

アビマエルとは昼の2時にオアハカの中心にあるサント・ドミンゴ教会で待ち合わせをして、一緒に彼の家へと行く約束だった。

アビマエルはメキシコ人には珍しく時間にきっちりの人間なので、2時前には到着して、彼の到着を待った。案の定、2時少し前にアビマエルは現れ、一緒にカフェへと入ってしばらく色々と話して、彼の家へとバスに乗って向かった。

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オアハカでは死者の日は家の玄関を開け放ち、死者と親戚などのゲストを迎えるという。だから彼の家だけではなく、周囲の家もドアを開けていた。

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アビマエルのお母さん、それに二人の姉と写真を撮った。彼にはほかにも二人の兄がおり、彼が一番下の5人兄弟だ。

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お姉さんの子供は妊娠6ヶ月で未熟児として生まれて、生まれたときは1キロぐらいしか体重がなかったそうだ。だからしきりに、「何を食べて、そんなに大きくなったのか?」とお姉さんから訊かれた。仕方がないので、「牛乳」と答えておいた。

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メスカルが振る舞われ、お母さんのおいしいオアハカ郷土料理を食べているうちに、続々と親戚やほかの兄弟が集まり、20人程度の集まりとなった。スペイン語が話せる日本人が珍しいのか、ひたすら日本について訊かれたが、その多くは中国と混同しているものだった。

「日本では、子供はひとりまでしか持てないのでしょ?」とアビマエルの姉が訊くと、博識のアビマエルが「それは中国だよ。日本では反対に出生率が下がって社会問題になっているんだ」と言ってくれた。

それでお母さんが、「日本人は子供が欲しくないの?」と自分に訊いてきたので、「日本人はセックスしたくないんだよ」と答えると一同大爆笑となった。(特にお母さんが大爆笑・・・・・)

そんな他愛もない話をしてアビマエルの家をあとにした。

こんなに暖かい家庭に育ったから、今のアビマエルがいるのだと思った次第だ。

夜は宮崎県人二人、それにオアハカで偶然会ったメキシコ人女性ユリとその友人ペルー人のリリアナと合流した。

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死者の日のオアハカでは夜な夜な仮装した人たちが練り歩き、いたるところで嬌声が上がる。だが、アビマエルのように地元の人にとってみれば、死者の日は「家族と一緒に死者を迎い入れ、彼らと共に静かに時を過ごす日」なのだろう。日本ではお盆がそれにあたるが、メキシコの死者の日はまだまだ伝統として残っており、これからも引き継がれていくのだろう。

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そんな神聖な気持ちなど無縁な宮崎県人二人はすっかり彼女たちと盛り上がっていた。宮崎県人って変わった人が多いなと思っていたが、ふと思い出したら東村アキコの出身地だった。

実父をモデルとした描かれた父・健一の驚愕のエピソードはすべて実話という。宮崎県人・・・・奥が深い。

オアハカ郊外に住んでいる友人の家に居候している彼女たちは遅くなる前に帰り、残された男3人、ずいぶんと遅くまで飲んだ。20代、30代前半までは人はある程度、自由に生きることはできるが、それ以降は社会的な責任やしがらみが増えて、とても難しくなってくる。

だから彼らには「10年後、宮崎で飲もう」と約束した。

今、彼らが自由に世界一周している同じだけの自由を彼らが10年後も所有していて欲しいと思う。そういう多様な社会になってこそ、人が旅に出る意義があるというものだ。

間違っても「おれが若い頃はな、世界一周をして、うんたらかんたら」と語る大人にはなって欲しくはない。現在進行形で語れる人生こそが、意義のある人生というものだ。過去は過去にしか存在しないし、未来は未来にしか存在しない。語る価値があるのは今だけだ。

10年後、今を語れる立派な大人にお互いがなっていればいいと思う。

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