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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

メキシコの結婚式:パーティーの定義

多くの人も思っているだろうが、結婚式ほどコストパフォーマンスが悪いものはない。

たかだが、2時間かその程度の時間のために膨大な時間と多大な費用を費やす必要がある。そして、招待客はお決まりのパターン化された当日のプログラムに嫌々ながらも笑顔を振りまき、3万円ばかし払っているのに、一向に楽しむことはない。

あんなものは早く消えてなくなってしまえばいい。

で、ひょんなことからメキシコの結婚式に行ってきた。

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今週の金曜日にたまたま行ったパーティーで、「明日行くパーティーではたくさんサルサが踊れるから、一緒に行こう!」と言われて行ったら、結婚式だった。

もちろん、結婚する当のカップルのことなど何一つ知らないし、一緒に行った人たちも一昨日会ったばかりだ。

メキシコ、カジュアルだな。

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おそらく会場の人たちからは「おまえ、誰だ」と思われていただろうが、メキシコシティから少し離れた郊外の町なので、みんなとてもフレンドリーだった。

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食べて、飲んで、踊る。パーティーの基本だ。

日本の場合だと、この「踊る」という部分が決定的に欠けているから、たいして面白くないパーティーが溢れているのだろう。

メキシコでは、老若男女問わず、ひたすら踊る。ステップなんて、みんな知らない。ただ体を揺すっているだけだ。

たいてい、クンビア、メレンゲサルサなどリズムとステップが違う音楽がかかるが、みんなそれぞれの音楽の違いすら知らない。

(ちなみにメキシコ人によく「ユウキ、これクンビア?あっ、これサルサ?」と訊かれる。メキシコ歴まだ半年なのに・・・・・違いが分かる男になってしまった)

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(花嫁と花婿が交替でテーブルを周り、参加者から小銭を貰うらしい。ちなみにこの風習は「pueblo(田舎)」だからとのことだ。ただの儀式なのでみんな300〜400円渡しているだけだ)

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(そして各テーブルにはジョニーウォーカーが。普通はテキーラのボドルらしいが、最近はちょっと良さ気な結婚式ではウイスキーが出されるらしい)

そして、踊り以外にも色々と催し物があり、それなりにけっこう楽しい。日本のように「花嫁から母親への手紙」みたいなアホくさいお涙頂戴のイベントはない。ひたすら、笑って踊って、みんなが楽しむ場所なのだ、ここは。

当然、結婚式の費用はすべてカップル、あるいは夫となる男性がすべて払う。日本のように招待客からお金を徴収することはない。ただ日本円にして500万円くらいかけることもあるというから、いかに盛大に祝うかよく分かる。

宵越しの金は持たない国だから、それぐらいは当然かもしれない。

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とにかくなんだかみんな楽しそうだった。

日本に居た頃は、よく家でホームパーティーもしたし、今でも年に一回はワンズワードの会員さんを招いてパーティーをしている。

結局のところ、パーティーはいかに主催者が招待客をもてなして、喜ばすかだと思う。そういう観点が日本の多くのパーティー、それに結婚式には欠けている。

主役は主催する側ではなく、招待客のほうなのだ。

でも、別にメキシコ人が殊勝に招待客を喜ばせようと思っているわけではない。

これは文化だ。

パーティーに行ったら、食べて、飲んで、踊る。

だから、主催する側も招待された方も、それなりに楽しい。

日本の結婚式も、もっとエンターテイメント性を高めて、自分たちが祝ってもらうのではなく、「今までお世話になった人たちにいかに楽しんでもらうか」という視点から構成したほうがいいのではと思う。

メキシコシティは人口密度もそれなりに高く、労働時間も長いが、東京のように閉塞感が全くないのは、人々がひたすら楽しむことに重きを置いているからかもしれない。

とにかく色々とアトラクションが豊富な国だとは思う。

結局のところ、国は人が作る。

この陽気な人たちが今後、この競争の激しい世界でどのような国を作っていくのかとても楽しみだ。