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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

フレデリックとイタリアとブエノスアイレス

イタリア人のフレデリックとはメキシコシティで出会った。

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何回も二人でメキシコシティの夜を徘徊したし、週末になるとどちらかともなく連絡を取って、一緒に出かけた。そんな仲だ。だが、自分が日本に帰国しているあいだに、彼は故郷のローマへと帰ってしまった。

ローマの休日ローマの休日で有名なあの階段・・・歩いていたら見つけてしまった。ローマは歩くだけでも歴史的な建築物にぶつかる)

メキシコシティにいる頃から、仕事のことで愚痴をこぼしていたので、あまり驚きはしなかった。だが、イタリアも若者の失業率が40%を超える国だ、楽な国ではない。

ローマ ロンドン、ブダペスト、ブラスティラヴァから来ると、その貧しさは一目瞭然だ。フレデリックもブエノスアイレスに何度も行き、何ヶ月も滞在しているが、ローマはブエノスアイレスとほとんど変わらないと言っていた。たしかに、先進諸国の首都というよりは、発展途上国の首都のような趣きだ。

ローマに来るのは20年ぶりだが、発展したどころか、どこか以前のその輝きを失ってしまったように思える。ブエノスアイレスを経験した今となっては、たしかに彼らの祖先がブエノスアイレスへと行き、その街のメンタリティーを形成したのだろうと思う。

圧倒的なラテンクオリティだ。

自分のことしか考えないし、人の都合なんて全く考慮にいれない。ただフレデリックいわく、「アルゼンチン人とイタリア人の違いはひとつだけ。アルゼンチン人は自信過剰で、いつも自慢げだけど、イタリア人はそんなことはない」ということだ。アルゼンチン人は南米一の嫌われ者だが、イタリア人はたしかにヨーロッパでそれほど嫌われているわけでもない。

ローマの街角

だが、アルゼンチンには未来がある。 人的要因のために、今のアルゼンチンはからっきしだが、豊富な資源と広大で豊かな国土がある。きちんとした人間がきちんと開発すれば、ある程度は伸びるだろう。

しかし、ここイタリアに未来はない。 かっての繁栄、それも1000年以上前の繁栄の残り香で暮らしている国だ。

世界中の人たち、特に中国人たちが旅行するようになっているから、そのおかげで観光業はこれからも栄えていくだろう。

だが、それ以上の未来がこの国にあるとは思えない・・・・もちろん、未来は未定なので、これからビル・ゲイツスティーブ・ジョブズのような天才を生みだす可能性もある。

なにしろ、レオナルド・ダ・ヴィンチラファエロを生み出した国だ。 それにイタリアの過去の栄光を題材に多くの映画も生み出されている。イタリアにいつまでも人々の憧憬を掻き立てるなにかがあるのだろう。

フレデリックは「メキシコシティは最高の街だよ!でも仕事面ではとても厳しい」と言っていた。ローマで生まれ育った彼にそれほどの情熱を抱かせるメキシコシティも大したものだが、たしかに彼らがラテンアメリカの国々に惹かれる理由も良く分かる。

ヨーロッパは良くも悪くも成熟しきった、終わった国々の地域だ。 それよりも、これから圧倒的に伸びるラテンアメリカの国々にいたほうが、なにかとエキサイティングだとは思う。

考えてみると、ヨーロッパのなかでもフランス人やイタリア人たちは自国に対して、とても自虐的だ。もちろん、アルゼンチン人も自虐的な部分もあるが、本質的な部分では彼らは心底自分たちの国を愛している。だが、フランス人はイタリア人は、本質的なところで自国を嫌悪している、その結果、外国に暮らすパターンが多いような気がする。

ティラミス

ちなみに生粋のローマっ子のフレデリックによると、イタリアのジェラートとティラミスだけは、他所の国では食べれないということだ。アルゼンチンのジェラートも相当なものだが、彼は否定的だった・・・・自分にはその違いがイマイチ分からない。

だが、自分のなかでイタリアのような国のほうが、より完成されたオーストリアやイギリスのような国よりも魅力的に映るのは確かだ。だめんず・うぉ~か~的な要素も多分にあるが、自分のなかにないものを持っている人たちに惹かれるのだろう。

ローマに暮らしたいとは思わないが、イタリアのどこかでしばらく滞在するのも悪い話ではない。ただ、そのためにはメキシコでのプロジェクトにある程度、道筋を付けてないといけない。まだ先の話だろう。

そのうち、イタリアのティラミスの素晴らしさについて、熱く語ることが出来るかもしれない。 そのときを今から楽しみにしている。