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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

ノーベル賞と企業経営から人のプライドについて考える

中村修二氏がノーベル賞を受賞した。 じつは10年近く前に、中村氏の写真をとある雑誌のため撮影したことがある。

中村修二(「報道」に負けた中村修二氏より。)

当時は東京高裁に勝訴して200億円の支払い判決が出た直後だった。撮影の前にはいつも被写体のことをネットで調べる。だから、この事件のことも当時からとても関心を持って追っていた。

ノーベル賞を受賞した中村修二さんと日亜化学、いったいどちらの言い分が正しいのか?元日亜社員のつぶやき。

上記の記事を読んで思うのは、自戒を込めて言うが、経営者が悪い。

「稼がせてもらっている」という態度で日頃から中村氏に接していれば、これほどこじれなかったのではないかと思う。さらに乱暴な話だが、最初から10億円くらいから報奨金として払っておけば、よかったのではと思ってしまう。

日亜化学工業社長の小川英治氏、訴訟騒動の真実を今こそ明らかにする

中村氏は日亜化学工業に訴訟をおこされたので、反訴するために訴訟に踏み切ったと言っているが、小川社長はそうではないと言っている。どちらが正しいか分からないが、このような問題に発展する前に解決すべきだったということはだけは言える。

ノーベル賞受賞後、中村氏は創業者である小川会長にはとても感謝していると述べている。ということは創業者である日亜化学工業の会長は中村修二氏をとても可愛がっていたということだ。先代の子飼いの研究者を、2代目社長が気に入らないなんて話は、よくある話だ。

以前、ブラジルでスタンフォード大学で研究者をしているポルトガル人に会って、色々と語り合ったことがある。

ロマンティストよ団結せよ!

そのとき思ったのは、研究者というのは、なんと孤独な職業だろうかということだ。そして、その彼女も言っていたが、世界中の研究者との競争なので、一日たりとも休む暇もないし、親の総取りのように一番乗りの研究者がすべての業績を持っていってしまう不公平な世界であるということだ。

例え自分が辞めても、その研究をどこかで続けている研究者はいるし、遅かれ早かれ結局は今回の青色LEDのような発明に繋がる研究が世界のどこからかは出てくる。言ってしまえば、自分がそのまま研究を続けまいが続けようが、世界の多勢には影響はないということだ。

だからこそ、彼女は世界中の研究者がもっと協力しあって、もっと早く新しい発明や研究成果が出るようにすべきと言っていた。もっともな話だが、そうなるためには多くの解決すべき問題が残されている。

メキシコでも彼女ような研究者と会ったことがあるが、PhDも取って、自分の研究をずっと続けているので、ほかの仕事にはもう就けないと言っていた。あまりに膨大な時間と努力を普通の人が知らないような特殊な研究に費やしているので、それを今更変えることは不可能なのだろう。 (ちなみにその人は今はパリで研究をしている・・・・)

研究者というのも、あんなに高学歴でありながら、本当にツブシが利かない職業だ。(ツブシが利かないという点では経営者も同じだけど)

今回の件で学べる教訓は、人間関係というものは得になると分かっていても、なかなか素直になれないものなんだなということだ。しかし、例えば自分の会社の人間が千億、二千億ものお金を生む発明をしたら、一生その人には土下座をして暮らしていくだろうな・・・・・プライドなんて持っていても、金にならないし。

まあ、ノーベル賞を受賞した人を撮影したことがあるということは、これから酒の席で自慢になるなと思う今日このごろだ。