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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

グローバリゼーションと「雨が降れば、予定はキャンセル」の相関関係について

ブエノスアイレスは昨日からずっと雨が降っている。 昨日は落雷が近くにあったらしく、非常に騒がしかった。

2015-08-09 20.57.55

ラテンの人々は雨が降ると、予定をキャンセルするのが常だ。

雨が降るとタクシーも捕まらず、電話で呼ぼうとしても1時間待ちなどになることもある。 「雨が降れば、予定はキャンセル」というのは、ある意味この国では正しい選択なのかもしれない。

ブエノスアイレスでは、最上階に住むことは厳禁とされており、なぜかいうと「雨漏りがするから」という笑えない話もある。現に以前習っていたスペイン語の先生の家は、最上階にあり、よく雨漏りがしていた。そういえば、自分たちが住んでいた家も二階建ての二階部分でやはり雨漏りがしていた・・・・・全く笑えない話だ。

ブエノスアイレスに住んでいれば、雨漏りのひとつやふたつで特に目くじら立てることもなくなるのも事実ではある。電気やインターネットなどが時々切れる国なのだから。

雨が降れば、予定はキャンセル」というのは、人間的に正しい選択肢のような気もする。大雨が降っているのに、わざわざ出かけていくほどの重要な要件なんて現代社会でどれほどあるのだろうか?

メキシコやアルゼンチンなどの発展途上国に住むと、この狂った現代社会の凄まじいスピード感からは蚊帳の外に置かれるので、時々日本などの先進諸国に行くと、浦島太郎気分になる。

アマゾンのCEOのジェフ・ベゾスがインターネット界の7週間は、現実世界の7年に相当する」と言っている。ブエノスアイレスで7週間も過ごすと、先進諸国の現実世界から7年ほど乗り遅れる可能性もある。

自由とは選択できることにほかならない。 アルゼンチンやメキシコ、日本を行ったり来たりしていると、それらの国には大きな断絶があり、きっと人々はお互いに分かり合えることもないのだろうなと思う瞬間がふとある。

べつにそれが悲しいと思っていない。 むしろ、当然だと思う。人間なんて自分自身のことすらろくにわかっていない人たちがほとんどなのだから、国も言葉も違えば誤解が生じるのは当たり前だ。

グローバリゼーションなんて、アメリカ流の価値観の押し付けにほかならず、世界中の人たちがそれに反発を感じてしまうのもよくわかる。

雨が降れば、予定はキャンセル」 そういう価値観の国にいるほうがより幸せな気もするのも事実だ。

インターネット界の7週間は、現実世界の7年に相当する」というのも事実だろう。でも、そのスピードで走って、その先になにがあるのかはよくわからない。一つ言えることは、そうやってがむしゃらに走ることによって、人類に進化をもたらし、世界は発展していくのだろう。

雨が降れば、予定はキャンセル」 だから、この国はしょっちゅう財政破綻をして、インフレを起こし、いつまでたっても国が安定しないのかもしれない。

焦燥感と飢餓感をバネに世界に貢献する人たちを横目で見ながら、雨続きのブエノスアイレスで緑茶をすすりながら、うっかり過ごしている自分がいる。ただまあ、日本に行けばまた自分の中の価値観も変わり、雨が降ろうが槍が降ろうが予定は完遂するにちがいない・・・・たぶん。