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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

発展途上国での生き方について:禅と修行の日々

かれこれラテンの世界に身を置き、約5年。 仕事でもフィリピンにたびたび行くし、また先週は中国へと行ってきた。

そのなかで色々と痛感するのは、発展途上国での身の置き方だ。 「常識」というものが存在しないなかで、どのように生きていけばいいか自分なりに考察してみた。

1. 待たない

はい、これ重要。 日本のような先進諸国では「待っていれば」物事解決することもある。

発展途上国ではまずあり得ない。 例えばスーパーで買い物をして並んでいるときでも、油断は禁物だ。

ここ空いているな」と並んでみても、レジ係が前の人の商品の値段が分からず、ひたすら待たされることもある。またアルゼンチンではよくあったが、クレジットカードに問題があり決済が通らなかったり、現金が足りずに商品を間引きしているおばさんがいる列は非常に待たされる。

中国で開かれた広州交易会でも、受付は入り口付近で人が殺到して並んでおり、奥の受付はがらがらだった。大切なのはまずはより多くの情報を得るように、周りを見渡し、そのなかで最適な判断を下すことだ。

発展途上国ではATMですらよく待たされる。なにをそんなにすることがあるのか知らないが、待っている人が多いATMはスルーして、違うATMを探したほうがいい。

知り合いのドイツ人が、「アルゼンチンではスーパーで前に3人しか並んでいないのに、10分以上平気で待たされる。意味が分からない」と嘆いていたが、待っている人がいるのに全く気にしない人々が発展途上国に多いことをまず肝に銘じておくことだ。

悪気一切なし! 申し訳ない気持ちも一切なし!

それが発展途上国のルールだ。 だからこそ、待っている暇があれば、なにかを行動に移して、そのときベストと思われることを能動的に行うほうがより事態は良くなる。

2. 万が一のことを常に想定して行動する。

日本では万が一と考えて、一応は用意するが、ぶっちゃけ日本みたいな安全な国はそれほど想定以上のことは起こらない。だが、発展途上国は違う。常に想定外のことが起こるので、なるべく万が一に備えて色々と手段を講じておくことが重要だ。

たとえば一週間以上、発展途上国に滞在するのであれば必ず現地のSIMカードを調達して、万が一の事態に備えることをお勧めする。発展途上国プリペイドカードはおどろくほど安い。下記がその一例だ。

アルゼンチン 約500円 メキシコ 約400円 フィリピン 約400円

チャージも簡単でできるので、ありがたい。

プリペイドカードがあれば、スマートフォンでグーグルマップが使えるようになるので、非常に便利だ。発展途上国で道を訊くと、たいてい間違えた道を自信を持って教えられることになる。たとえば、メキシコでは道を訊いても、「¡Para alla!(あっち!)」と答えられる。

まっすぐな道ならまだしも、斜め方向を指差して「あっち!」と言われてもよくは分からない。そして、そんな漠然とした方向ですら間違えていることが多い。

バックアッププランを常に用意し、なにかあったときのために備える。 現在ではその作業はスマホ一台あれば容易になった。

便利な世の中になったものだ。

3. なぜかアナログ。

なぜかは知らないがアナログではあっていけないところで、アナログだ。

wifipass11

フィリピンのAIRBNBWIFIパスワードとして渡された紙が上記だ。 もうどうしようもない。

ゼロとオーが混ざっているし、英語の小文字と大文字が混在している。さすがにこれはダメだと思い、テキストメールで聞いてみたところ、下記やり取りをして、やっと正解した。

pass?wrong

まさかGが6だとは思わず、また回答を送っても全部大文字と言っているが、じつは小文字ではないと接続できず、そこでもちょっと時間を要した。よって、次のことから下記のことが重要だとわかる。

4. まず疑え!

発展途上国では、「全員が全員、自分が正しいと思っているし、自分基準で物事を考えている」のだ。だからこその手書きのWIFIパスワードを平気で客に渡して、なんとも思わないし、自分が大文字だと思ったら大文字が正解なのだ。

ちなみに「全部、小文字じゃないと接続できなかったよ」と言うと、「私は大文字で接続できた」という答えが返ってきた・・・・よくあることだ。ここは華麗にスルーしたほうがいい。

5. 発展途上国では怒るな、文句を言うな、華麗にスルーしろ。

そこで最終的な結論として、上記にたどり着く。

アルゼンチンで出家する:楽しい人生の送り方

文句を言おうが怒ろうが、発展途上国では事態はけっして良くならない。 良くならないどころか、怒れば怒るほど事態は悪化するのが常だ。

禅だ。 禅の心ですべてをやり過ごすしか、発展途上国で生き残る道はない。

彼らは同じ人間の形をした別の種類の人間で、我々とは一生分かり合えることもない。 そのくらいの絶望感と諦念を持ってして、初めて少しでも分かり合えたときに喜びが湧き上がるというものだ。 (別にどちらが上とか下というわけではなく、人は環境で変わるという圧倒的な事実を理解して、謙虚に受け止めるしかない)

しかし、そうは言っても腹が立つことも多いし、そうそう諦めることも難しい。 だから、きっと「修行だ」と言い聞かせながら、物事に取り組んでいくしかないのだろう。

もちろん、全力で問題を回避するために常に考えて、万が一の事態に備えて行動し、問題が起こったら怒らず、焦らず冷静に最善策を練るしかない。

先進諸国に生まれた我々はほかに有り余る恩恵を受けているし、「郷に入れば郷に従え」で彼らの生活に合わせることも大切なのだろう。

世界中が日本にようになんでもかんでも決められてしまう国よりは、発展途上国のようにやりたい放題な国で自由に過ごすのもそれはそれでひとつの考え方だ。

これからも精進して、いろいろな国に行って生活していきたいと思っている。