Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

ブエノスアイレスの青い空を見て思うこと。

ブエノスアイレスには火曜日の夜10時半に着き、それから深夜2時過ぎにタンゴを踊りに行った。

タンゴ、ブエノスアイレス

ブエノスアイレスのミロンガのなかでも老舗のサロン・カニングという場所だが、夜中の2時過ぎだというのに人がひっきりなしにやって来た。やはりこの街はどこかおかしい。もちろん、タンゴを踊る一部の人にしかこのようなことは知られていないのかもしれないが、それでも深夜2時過ぎからブエノスアイレスの夜は始まると言っても過言ではない。

1年ぶりに来たブエノスアイレスだが、やはりどこか愛しい気持ちになってしまう。 自分が住んだ街でそのような感情を抱いたことがあるのは、ほかにはスコットランドの首都エディンバラだけだと思う。今、住んでいるメキシコシティは確かに楽しい街ではあるが、そこまで感情的になることはない。

この街のペースで生きていると、自分のなかの切羽詰まった感情たちがバランスが取れて、弛緩してくる。やるべきことはたくさんあるが、この街のペースにそれらは全くそぐわない。願わくば、何もしなくてこのままタンゴでも踊りながら、ここで朽ち果てていくのも悪くないなどとアホな考えすら思い浮かぶ。

ブエノスアイレスの空

ブエノスアイレスで過ごす夏はやはり格別だ。 無駄に広い通りに、天井が高く無駄なスペースが多いカフェやレストラン。そのどれもが贅沢に感じられる。

国の財政は破綻し、年30%のインフレになり、街のスーパーは適当に値段を決めて、さらにインフレを加速させている。アルゼンチンの経済は今年行われる大統領選によって変化が期待されるが、むしろ悪化しないことを祈る。

アルゼンチン人はラテンアメリカで一番の嫌われ者だ。自信過剰で、自己主張が激しく怠け者。それが彼らのラテンアメリカでの評判である。そして、そこそこ働き者が多いメキシコシティから来てみると、その評判通りだと思わざるを得ない。

でも、それも仕方がない。たしかにブエノスアイレスは素晴らしい街だと思うし、文化的にも見るべきところが多く、さらに世界一のサッカー選手とローマ法王を輩出している国だ。国が財政破綻しようが彼らの自信と誇りは常にうなぎ登りだ。その点は少しは日本人は見習うべきところかもしれない。

良識がありバランスが取れた国家というのは日本とアルゼンチンの中間にあるのかもしれない。

ブエノスアイレスに来ても歓迎してくれる友人知人たちに恵まれ、メキシコシティ、それに日本にもそういう友人たちがいる。たぶん、きっとそれらが自分の一番の財産なのかもしれない。これからそういう場所を作れるかどうかは分からないが、まだ知らない国、知らない街、見知らぬ風景を求めて今年も旅をしたいと思っている。

今はグローバルな時代かもしれないが、結局のところそのキモとなるのは、個人対個人の関係だ。それは今後も大切にしていきたい。どこの国に行こうが、そのスタンスは変えることはないだろう。