記憶は混濁する。 結局、人間は記憶のうえで存在しており、自分以外の人々を思い出すのはそういった記憶のうえでの話だ。 毎日、顔付き合わすことのない膨大な数の人々は、その記憶のうえでのみ存在することになる。 あんなに色鮮やかな記憶だったモロッコの…
人はどうして旅に出るのだろう。 旅をするたびにそう思う。 モロッコは僕の思い描いていた通り、異国の地だった。 東南アジアやヨーロッパの風景に見慣れた自分にとっては、まさに未知の土地だ。 その匂いや空気にとても興奮させられた。 いつものようにろく…
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