Keep My Word

旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

クリスティーンという人

インドネシアへと行ってきたが、インドネシアの印象よりは久しぶりに再会を果たしたクリスティーンがあまりに面白いやつだったので、インドネシアを堪能したというよりはクリスティーンを堪能した。

chrisitene1(彼女とは15年ぶりの再会となったが、ほとんど変わっていない。いつまでも笑顔が素敵な人でいるだろう)

クリスティーンと一緒にいるあいだ、彼女は多くの名言を残したが、そのうちのひとつが次のようなセリフだ。

「 I can not have Sex with everybody but I love everybody.(みんなと寝ることは出来ないけど、みんなのことを愛しているの」

彼女にとっては社会に貢献することが一番大事であり、プライベートのことよりも社会全体に対していかに貢献するかということのほうが優先順位が高い。彼女はフランスのNPOに勤務しており、貧しい人たちに対して色々と世話を焼いている。別に自己犠牲の精神からそうしているわけではなく、そうすることが彼女にとっては自然なことだからだ。

川の流れと同じように、愛も上流から下流と流れる。

彼女にとっては与えることが当然であり、その溢れんばかりの愛情は四方八方に向けられている。

(この動画のように、彼女はもう誰彼構わず話しかけ、誰とでも友だちになる。一緒に泊まっていたホテルでは、僕たちは常に「クリスティーンの友だち」と認識され、ローカルの人々から歓迎(?)された)

クリスティーンのような人たちで特殊部隊を形成し、世界中の紛争地帯に送り込めば、世界には平和が訪れるのでないかと思うぐらい彼女の愛情パワーの破壊力は凄まじい。一緒にいる誰もがハッピーになり、笑顔にさせる何かがある。

思えば15年ほど前に彼女の実家を訪れたときに、彼女がフェアトレードのお店でボランティアとして働いていることを知らされ、そのときに初めてフェアトレードとは何かということを知った。日本では最近になってようやく一般的に知名度が上がってきたが、ヨーロッパほどには普及していない。

社会全体のことにかまけていて、プライベートのことはおろそかになっていたクリスティーンだったが、最近彼氏が出来たらしく、散々その彼のことを聞かされた。

僕たちの別れの当日の朝、フライトは午前10時だったので、最後に僕たちは一緒に朝食を食べた。その席で彼女は彼からのメールをチェックし、次のように言った。

「You know, his e-mail is so long and sooooo romantic!! (彼のメールはとても長くて、それにロマンティックなの!)」

そして、数秒後にまたこう言った。

「You know, his e-mail is so long and sooooo romantic!! (彼のメールはとても長くて、それにロマンティックなの!)」

「クリスティーン、さっき全く同じことを聞いたよ」と僕は言ったが、彼女は特に意に介した様子はなかった。

日本のような他者の目を気にする社会からは、クリスティーン的な価値観を持った人が育つのは難しいかもしれないが、彼女を見ていると社会貢献というものの本質がよく理解できる。

「なぜ社会貢献したいのか?」と彼女に訊けば「だって、そうしたほうがより楽しいから」という答えが返ってくるだろう。彼女は彼女の楽しい人生をより多くの人と分かち合いたいのだ。そして、そこにより不幸で貧しい人がいれば、助けずにはいられない。

日本では社会貢献というととかく頭でっかちに考えがちだが、本来ならばこのような態度が一番正しい。彼女は自分一人の人生に十分充足しているどころか、持て余すくらいの熱量があるので、それを健全な態度で他者に向けているだけなのだ。

何事も上流から下流へと流れ、下流から上流へは何も流れない。

クリスティーンはきっとこれからも世界をより楽しく、美しい場所へと変えていくのだろう。