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旅とタンゴをこよなく愛する。カラダナオル創業者。

ラテン的な幸福感は意外と深いイイ話。

マズローの欲求5段階説というものがある。

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人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲するというもの。
(転載元:http://www.motivation-up.com/motivation/maslow.html

なんとはなしに、これと「人間の幸福感」を結びつけて考えていたが、全くなんの関係もないということに思い当たった。

欲求を満たすことによって幸福感が比例するということは間違いだ。

マズローの欲求5段階説はあくまで、欲求を満たしても、常に次の段階があり、最終的には「自己超越」という段階に到達すると下記のような状態になるという。

「目的の遂行・達成『だけ』を純粋に求める」という領域で、見返りも求めずエゴもなく、自我を忘れてただ目的のみに没頭するという領域のようです。」

神か、仏か・・・・

これと対照的なのが、ラテンの人々だ。 とにかくデフォルトで彼らは幸せそうだ。

地球幸福度 (上記の国々が幸福を感じている世界の国々の上位10カ国です。ほぼラテンの国々で占められています。こちらのページから最新のデータが見れます)

ニカラグアなんて旅行者が近づけないくらい危険な国として有名だが、けっこう幸せだったりするわけだ。アルゼンチン、メキシコと合計4年住んだが、彼らも総じてとても幸せそうだった。マズローの欲求5段階説は先進諸国の人々には当てはまるかもしれないが、これらの国々と人々には当てはまらない。

彼らは基本的な生理的な欲求を満たされると、それに満足して、あとは日がな1日ボーと過ごしても、漠然とした幸福感に打ち震えることができるように見える。だから、向上心とは無縁だ。

目の前の仕事をいかに効率的に、また改善して仕事をするかなんて、考えることなんてないだろう。仕事が終わった後飲む一杯のビールを目標に、だらだらと決められた時間まで働く人が大半だ。それが果たしてそれほど悪いことなのだろうか?

働く人によってはやさしい職場であることは確かだ。 だが雇用者にとっては地獄ではある。

知り合いのメキシコの建設会社の社長が、ビジネスパートナーとともにその会社を仕切っていたが、面倒くさくなって辞めて、そのパートナーに仕事を譲った。

そしたら、ものの見事にあっという間に倒産した。

彼は厳しい人で、常に工事現場を管理し、労働者を叱責しながら仕事をさせていたらしいが、パートナーはとても優しい人で、そんなことは一切しなかったらしい。だから、誰も真面目に働かなくなり、結局潰れたらしい。

こういう話は枚挙にいとまがない。

長期的な利得」を考えればきちんと働いて、その仕事の責任を果たし、そうすれば全体がうまく回るので仕事を失うこともなく、結局のところ自分の利益となる。ただ、「明日より今日」なのだ、ラテンの世界は。

結局のところ幸福感を最も簡単に得るには、「明日のことなんて考えず、今日のことだけを考え、一瞬一瞬に喜びを見出す」という態度なのだろう。意外と仏教や哲学の教えにも繋がるのが、ラテン世界の価値観だ。

【悩んだときに読む】「メキシコの漁師」の話

そして、いらない欲は捨てろということか、マズロー