近頃、ブエノスアイレスでタンゴを踊るたびに褒められることが多い。 それは、それで喜ばしいことではある。
ただ、これが2、3年ぶりにブエノスアイレスに来ていたならわかる。 2、3年前に一度踊って、今回来た時に久しぶりに踊っていたなら、それはかなりの上達具合だと自分でも思う。
しかし、半年ぶりのブエノスアイレスだ。 半年前でも、自分ではてっきり踊れるほうだと思っていたが、そうではなかったらしい。
さらに一ヶ月前に出会った女の人とまた一ヶ月後に踊ったら、びっくりした顔で「すごくうまくなった!」と褒められた・・・・微妙だ、微妙すぎる。
たしかに今回もそれなりに多くの個人レッスンを受けて、とくに現在はイタリアのジェノバ在住でたまたまブエノスアイレスに帰ってきていたFlorとHernanのレッスンはとてもよかった。彼らと知り合ったのはもう4年ぐらい前なので、昔のよしみでバケーション中だった彼らに特別にレッスンをしてもらった。
家が近いので、自宅まで来てもらってみっちりとレッスンをしてもらった。 Florは小さくてかわいいが、めちゃくちゃスパルタで、細かいことを指摘してくれる。「細かいディテールが大きな違いを生むから」ということで、何度も何度も直された。
正直、そこまでする必要があるのかという根本的な疑問はあるにはある。
もうタンゴを習い始めて、4年になる。 上記の記事にも書いたように最初は苦痛以外なにものではなかったが、「継続こそ力なり」だ。
思えばよくもここまで続けたとは思う。 英語やスペイン語の習得よりも、よほど自分にとっては難しかった。
優秀な先生の資質について:ブエノスアイレスのアルゼンチンタンゴ
最初の2年はリズム感を養う練習に割かれたと言ってもいいほど、何度も何度も繰り返し単調なステップを繰り返して、タンゴの音楽性とリズム感を養った。その甲斐もあって今では我が物顔で踊れるようにはなっている。
そして、2年前からTanguitoというブエノスアイレスでは有名な先生のグループレッスンに通っている。さすがに2年も定期的に通っている外国人はいないので、色々と丁寧に教えてくれる。(Carlos Calvo 3745というところで毎週火曜日と金曜日の19時半からなのですが、いつも男性のほうが女性よりも圧倒的に多いという・・・・男子人気が高いレッスンではあります。ちなみに今年のタンゴ世界選手権の審査員でもあります)
そして、時々、Julioにテクニカを教わっている。 男、二人地味な練習を自宅で繰り広げている・・・・・一体、何を目指しているのか自分でも謎だ。
外国語学習やスポーツでも同じだが、自分のポテンシャルの80%から90%まで習得する過程は楽しい。例えば今の英語力やスペイン語力はたぶん、自分のポテンシャルの9割ぐらいはいっていると思っている。 (スペイン語はたぶん英語力よりかなり劣るので70%から80%程度くらいかもしれない)
それ以上の能力を身につける必要があるのは、その道のプロだけだ。 なぜならそれ以上の能力の研鑽はとてもつもなく時間がかかり、それこそディテール勝負となるからだ。
今のところ、自分のタンゴ力はせいぜい50%程度なので、まだまだ伸びしろはあると思っている。
たぶん、そういうのが楽しいだろう。 「なにかをこつこつと練習して、上達するプロセス」から、人はとても大きな喜びが得られる。
ブエノスアイレスに来るまで、まさか自分がタンゴを踊れるようになるとは思っていなかったし、始めた頃も今のように踊れるようになるとは想像もできなかった。
あとは仕事・・・・・ 頑張ろう。