気持ちのいい日曜日だ。
いつもより少し長く感じられた冬がようやく終わりを迎え、夏の香りがすぐそこまで漂ってきている。こんな日に結婚式なんて、最高だ。
友人に写真撮影を依頼されたので、久しぶりに結婚式の撮影をしてきた。最後に結婚式を撮ったのはいつだっただろう?もうずいぶんと前のような気がする。撮影と言っても今回は披露宴のみだったので、それほどの機材は必要ではない。今後も周りでは結婚しそうな人はいても結婚式まで挙げそうな友人はいないので、撮影する機会ももうそうそうないだろう。
そういえば僕の友人で、わずか二ヶ月のあいだで20歳近く年下のウクライナ人の彼女を作り、すぐに籍を入れ、挙げ句の果てに子供までできた人はいるが、結婚式を挙げるとは聞いていない。(挙げるとしたらウクライナで挙げるのだろうか?ちょっと行ってみたい気はする)
今回の会場となった目黒の八芳園は、素晴らしい雰囲気のところだった。さすがに白金に位置するだけあって格調の高さが際立っている。
結婚はしていても結婚式を挙げていないので、なんとなく結婚式というものに対して複雑な感情を抱いているが、こんな気持ちのいい日に式を挙げられたら良いなと素直に思う。
披露宴における一連のシステマチックな流れには違和感を覚えるし、費用対効果を考えるとどうも釈然としないが、春の陽気と最高の天気が確約されているのならば、それだけの価値があるだろう。
披露宴と言えば思い出されるのが、うちの姉の披露宴で母方の叔父がぽつりと言った次の台詞だ。
「エンターテイメント性が足りないね」
NYに10年以上も住んでいた人だけあって、なかなか手厳しい。エンターテイメントとしてのレベルは、彼の感覚では劇団四季とブロードウェイのミュージカルぐらいの差がそこにはあるのだろう。
しかし、そもそもブロードウェイのようなエンターテイメント性がある結婚式なんて、存在するのだろうか?たいていの場合、劇団四季的な予定調和の世界に終始し、滞りなく済ませるもののような気もする。(特に花嫁が両親への感謝の気持ちを読み上げる手紙と、劇団四季と観客のあいだに存在する割り切り感は共通しているように思える)
ただ今日の陽気はそんなことを吹き飛ばすほどで、本当に気持ちのいい披露宴だった。天気さえ良ければ人間は幸福になれると言ったニーチェは正しい。
そして、白金で一番気に入ったのは、その帰りに寄った八芳園の目の前にあるブックオフだ。そのあまりの品揃えの良さに3時間も過ごしてしまった。ブックオフのメインの商品と言えば、漫画なのだが、さすがにそこは白金だけあって、洋書や文学作品、それに洋楽のCDなどを豊富に揃えており、今まで行ったブックオフの概念を吹き飛ばしてくれた。(通常、ブックオフでの本の購入方法としては100円で売り飛ばされているベストセラーを何冊か購入し、人気作家の新刊を何冊か購入するといった感じだろう)
白金に住んだら、毎日このブックオフに通い、併設されているカフェでコーヒーを飲みながら日がな1日過ごしてしまうだろう。そんな生活、まだまだできそうにないけど。